☆04年型ホンダ・フォルツァZついに発売


 当初の予定はおそらく2月末あたりの年明け早々に発売されるはずだった、ホンダのビッグスクータージャンルにおける戦略商品、ECVT装備のフォルツァZがついに7月30日に発売となる。それに先立つ7月初旬、箱根小涌園ホテルを基点としたプレス向け発表試乗会が開催された。
 過不足ない走りの資質、そして何より抜群のユーティリティやキーレスエントリーシステムなどの装備は、すでにデビューしている『X』バージョンと同じだ。そしてこのZタイプならではの目玉となる装備、250ccクラスのスクーターでは初となる、電子制御無断変速機=ECVTの標準装備。その出来はまずまずであり、大きな不足はない。クラスは違うが、スズキのスカイウエイブ650を丹念に研究した跡がうかがえる。変速モードの設定は、その様子を物語る部分のひとつ。通常モードのほか、パワー重視のモード、さらにマニュアルモードは二輪車のECVTで初となる6速変速が可能だ。

 ただし、マニュアルモードにおいて前後ブレーキを使って減速しながらシフトダウン、ということがやりやすいスイッチ配置とは言い難い。スズキと同じ程度の使い勝手である。スカイウエイブにおいても、筆者のみならず多くの一般ライダーがこの手の変速機を使って思うことは、オートマでありながらエンジンブレーキがちゃんと効くこと。さらにその効き加減を自分の意志で制御できるのが、マニュアルモードでのシフトダウン操作なのだが、そのやりやすさへの工夫が十分ではない。

 変速プログラムの出来は、まあまあ。大きな不足はないが、ここでも気になったのは、エンジンブレーキの効きのアマさである。全体に効きが弱めなのだが、シフトダウンしていくと、とくに3〜1速はほぼ似たような効き。2速と1速など、どう工夫しても同じである。つまり、普通に想像したくなる1速ならではの強力なエンブレは存在しない。これはどうも、急激にエンジンブレーキが効いた結果として、万が一にも後輪がスライドでもしたら不安定になりかねない……といった、リーディングカンパニーを自負するホンダならではの『非常に緻密な』電子制御プログラムに原因がありそうだ。
 実際のところ、擬似的なマニュアルシフト機能が必要か否かと問われれば、必要不可欠な装備ではないだろう。しかしながら、必要性を超えた愉しみは存在してほしいものであり、そうした機能を備えた上で消費税抜き価格が60万円を切る599.000円、ノーマル(フォルツァX)との価格差がわずかに30.000円というのは見事である。だが、そこまで頑張って、しかも発売時期を大幅に遅らせてまで作り込んだのなら、疑似マニュアルならではの面白さ、そしてECVTならではの面白さを、もっと前面に出すべきではなかったのか。僕はそんなふうに感じた。
 といった私的見解は別として、一般論としては価格に対し買ってソンはない出来。これからの250ccスクーターの基準をまとめたモデルと表現できるのかもしれない。