☆03年型ホンダXR250試乗


 日本でオフロード遊びとなれば、バイクは4スト250モデルが基本。その中でも定番中の定番、ホンダXR250がモデルチェンジを受け、2月28日に発売となった。それに先立ち、千葉県の鴨川にてプレス向け発表試乗会が開催された。これはそのレポートである。
 国内バイク界不況の中でも、国内オフロード系はとくに不況状況にある。94年には3万台以上の規模だったマーケットは、02年には1万台少々にまで落ち込んでいる。ヤマハなど、経営効率の観点からいいバイクだったTT250やレイドなどをラインナップから外してしまった。スズキもDR250がカタログ落ち。そうした厳しい状況の中、フルモデルチェンジではないにせよ、新しい技術を投入した新型車を作り販売するホンダの姿勢は立派である。現状ユーザーに対する買い換えを期待する部分もあろうが、新たなオフロード・フリークを誕生させようという意図も、明らかに込められている。


●スタイリッシュさと安定性を身に付ける



 今回の最大の変更点は、スタイリングだと思う。誰だって、バイクは、カッコよいほうがいいに決まっている。新規ユーザーを獲得するとなれば、なおのことだ。ファッションとして街乗り用にXRを買って、あるとき間違って林道に入り込んだら「面白かった」となれば、じつにメデタイことである。新型は、その可能性を秘めていると思う。モトクロッサーのルックスを持ち込み、シャープに後方へ伸びたリヤフェンダー、ホンダが「タンク・シュラウド」と呼ぶラジエター・シュラウド風のカバー、そして倒立フォーク。カラバリが赤だけというのは気に入らないが、僕もソソラレてしまった。
 ただ、倒立フォークはカッコだけのためではないと開発陣は強調する。実際、フロントまわりの安定感は確実に向上しており、操縦性は従来型とは違う。試乗が行われた千葉の林道には、極端なギャップやガレ場はなかったが、意図して荒れた場所を選んで走行してみると、とくに下りの大きなギャップに飛び込んだときなど、まるで何事もなかったかのごとく通過し「なるほど」と思ったのである。
 もっとも、ステアリングまわりのモーメントは若干増加している感じだ。車体をリーンさせたときに、前輪がインへ向いて切れる自然操舵のレスポンスが低下しており、それによる初期旋回の低下が表れる。ハンドルグリップへの入力による操縦性の機敏さ感も低下した。とはいえ、その程度はわずかだ。また、そのモーメント増大が、前輪のフレにくさになっているのも事実で、これはバイク任せで安心して走れる感覚につながり、とくに初心者には嬉しいことであろう。リヤまわりは従来同様にフニャリ、ドタバタするときがあり、オフのギャップ通過時にアンバランス感がないわけではないが、その程度もわずか。リヤがフレたって、怖くはない。これはこれで、ありだ。
 なお、フロントフォークの倒立化に合わせて、フレームもステアリングヘッドまわりの剛性が高められている。パッチ追加による補強だ。

 じつは、僕が一番期待していたのは、エンジン性能の向上である。従来型は、排ガス規制に対応した途端、低回転域でスロットルを開け始るときのレスポンスが大幅に低下してしまった。オンロード走行ではさして気になるものではないが、オフではコーナーに飛び込んで右手をスッとひねる、その瞬間のことであり、非常に重要な性能なのである。この問題はXRに限ったことではなく、各メーカーの4スト・オフ車各モデルとも『全滅』の感じだった。そこに、ホンダがどう対処したかに期待したのである。手法は、点火時期のデジタル制御だった。

 結果は、悪くないね、といったところ。排ガス対策前のモデルを思い出しながら比較すると、完全に以前と同じとまではいかないかな? 3速ギヤ以上では、開け始めの瞬間にエンジンがぐずぐず言う感じは若干あるかな? とは感じた。その『ぐずぐず』が気になる域を回転数的に表現すれば、3速ギヤなら40km/h以下のことである。それでも、1〜2速ギヤではまったく気にならないレベルに改善されている。なお、XRならではの高回転の伸びのよさや振動の少なさは相変わらず素晴らしい。
 今回、ライディング・ポジションも変更になった。タンク形状が変わり、ハンドルがやや高く短くなり、シートは新作。その結果、攻めるにはややハンドルが高いが、ツーリングの快適性は増した。シートは後方の幅が広くなり、尻の受圧面積が拡大している。ただ、足つき性向上のため座面の前傾が強めで股間を引っ張られる感じがあり、また前方部の幅が狭いので太モモまでは支えてくれない。まあ、このあたり、僕好みのハイパー・オン&オフ・ツアラー仕様のシートにしてしまうと、足つき性はかなり低下するのだが。そんな話、開発スタッフを無理矢理に僕のバイクへまたがらせつつ喧々囂々やっていたのだが、それはじつに楽しい時間だった。XRを作っている人々は、本当にバイク好きなんだなと思った。
 本当は、RFVCなんて旧式なメカニズムは捨ててまったく新作のエンジンを作り、まったく新作のフレームを作るのがいいはずだ。その許可さえ経営陣から得られれば、もっとすごいものができるのは間違いない。だけど、今の状況で、企業としては、天下のホンダでもできないのである。売れる数が少ないからだ。その悔しさを口に出さず、シコシコと改良を重ねたホンダは偉いと思う。
 ただ、メーターをCRMか何かの安価なアナログ式にしてしまったのは、ちょっと??? 多機能なデジタルメーターは、公道オン&オフバイクでは重要な装備だと思う。バハにはちゃんと付いていますがね、03モデルでも。
 なお、XR250に関する諸元などの詳細はホンダ公式サイトにあり、カスタマイズ・パーツに関する情報も豊富に用意されている。


●XR BAJAはエンジン仕様のみ変更



 デュアル・ヘッドライトのバハも、エンジンはスタンダードXR同様に、点火時期のデジタル制御化などの変更を受けた。倒立フォークは採用されず、車体は従来同様だが、このモデルはそれでいい。適度な前輪荷重の増加などで、操縦性も僕は従来からバハが好きである。シートは、従来からノーマルより座面幅の広いものが採用されており、今回も変更はない。カラーリングは新しくなったが、この黒だけというのは……。


●モタード仕様も登場



 新型XRをーベースとする、モタード仕様のモデルも近日中に発売となる模様だ。これを機に、モタード系がブレイクすることを僕は期待している。
 前後輪を17インチとし、タイヤも外観はどこかで見たことがあるが、中身はこのモデルのための専用仕様のもので、新たに開発したタイヤなのだ。タカサゴのエクセルリムを採用というのも嬉しい。前後サスは若干のセッティング変更のみだが、ホイールサイズの変更により、足つき性はXRより格段にいい。

 しかし、カラーリングは現在のところこの黒だけで、その色やグラフィックのせいか、やけにシャコタンで小柄に見えてしまうのが気になる。この手のモデルは、タッパの高さ感が重要だろう。カワサキのDトラッカーは、そこがいいのだ。というような話を開発陣としたが、はたして彼らは僕の直訴を考慮してくれたか? それは公式発表時に判明するだろう。