☆ZX−12Rの現実的テスト


 カワサキのZX−12Rに試乗した。MC誌の定例項、ロードテストで扱うためである。テスト者はもちろん最新の01年型で、初期型のウイークポイントはほぼ改善されている。たとえば、初期型で最も気になったのはスロットル開け始めでの無駄なトルクの立ち上がり、いわゆるドンツキだったが、それがほとんど気にならないレベルにまで改善されている。ときとして、滑らかな変移ではあるものの右手の動き以上にパワーが増すことがあるものの、一般的にはほぼ問題のないスムーズなレスポンスとできよう。スロットルの異様な重さも解消された。コーナリング中にスロットルを開け始める瞬間に、前輪が押し出されるプッシュアンダーの強さも、新型ではほとんど気にならない。
 減速時や超高速でのスタビリティの高さ、ウインドプロテクション性能の良さ、そして圧倒的なパワーなどは、従来どおりである。メーカー側は、ZZ−R1100とは違って9Rなど同社のRシリーズの頂点に立つスーパースポーツと位置付けるが、スポーツ性とクルージング性能を高いレベルで両立させており、実質的にはZZ−Rの後継機種と見てよい。
 ただし、その良さを発揮するスピードレンジは、恐ろしく高いところにある。エンジンが抜群のパワフルさとともに上質な回転フィールとなる、その最も美味しい域は8000rpm以上で、それは3速ギヤですら160km/hを超え、トップギヤでは230km/h以上となる。車体性能としても、速度を上げてもレーンチェンジがあまり重くならずビシバシ直進する感じが本当に愉快なのは200km/h前後から上。深いコーナーも連続的にビシューッと曲がり込んでいく特性が本当の意味で光るのは最低でも120km/h以上、可能なら160km/h以上の速度域になってからだ。
 尋常な速度域では走りにくい、などと言うことはない。エンジンは低中速でもスムーズにまわり、せき立てられることはない。ハンドリングは、市街地レベルでは安定性も軽快性も特段によくはないが、まあ普通に走らせられる。タイトな峠道も、フロント依存度の高さを活かしスロットルオフの時間を長くしなければならない面はあるものの、これまた普通には曲がり、挙動はさほど鈍重ではない。ただ、そこに12Rならではの快感があるだろうか? ZZ−Rのほうが、そんな場面でもそれなりにワクワクを味あわせてくれたように思う。
 今回のテストでは、極限性能より常識的な使用でのチェックに重点を置いて数日間、12Rとつきあってみた。その中でも、このバイクに備わる特急の非現実性能はやっぱりすごく魅惑的だと感じたのは事実である。そもそもスポーツバイクは非現実性が魅力である。とは言うものの、一方で日本の風土、道路環境、制限速度、といったニッポンの現実を常に強く意識しながらの走行でもあった。「夢」の部分に、どれだけの価値を見いだすかは、乗り手次第である。

●実用燃費はいまひとつ


01年型の速度計は、自主規制により280km/hまでの表示となったため、目盛りがまばらになって寂しい。こうした超高速車の場合、今後は液晶表示の速度計の方がいいかも。満タン法で計測した実用燃費は平均で12.3km/l、高速巡航主体の160km区間でも14.0km/lと、インジェクション装備車のわりに悪かった。