☆ヤマハFJR&FZS1000 in Spain


 2月21〜22日の両日、僕はヘレスでFZSとFJRの2台のヤマハニューモデルに乗ってきた。詳細はモーターサイクリスト誌とUバイク誌の4月号にある。
 FJRには、正直なところ少々未完成な部分を感じた。しかしFZSは、これはもう絶賛ものである。FZSは当面、日本仕様の販売はするつもりがないらしいが、逆車は買える。FZSはとてもとても愉快であり、とてもとてもお勧めする。



☆FZS1000FAZER

 
 エンジンは、ブチ回してもガッキーンと脳天を突き抜ける「パワー感」はない。ジェットコースター的な価値を強く求めるなら物足りないかもしれない。だが、僕は気に入った。使える143馬力だ。猫が地を蹴るがごとく、しなやかに湧き上がるパワー、扱いやすいレスポンス。コーナーでグイグイ開けられる。リヤタイヤがスライドを始めても戻さずに開けていく、それができる。
車体は抜群。スペインの一般道はかなり路面が荒れていて、そこを160km/hくらいで通過しても、何も起こらない。僕はその瞬間、思わず心の中で拍手した。ネかせ始めると、しなやかに曲がり始める。スロットルを当てればリヤサスがしなやかに反応して路面を捉え、グニグニグニーッと曲がり込んでいく。こいつは猫科である。
 もっとスポーツできるネイキッドがあってもいいはずだと思い続けてきた。ネイキッド的な車体構成の利点を活かし、新しい技術で組み上げたバイクに乗りたかった。FZS1000は愉快だった。



☆FJR1300

 
 3000rpmからトルクがグングン立ち上がる。6000rpmからは怒涛のごときパワーが炸裂し9000rpmからのレッドゾーンへ飛び込んでいく。なんだ、この速さは! 1速ギヤで右手をクイックにひねったら、コトもなげに地を離れる前輪。ハンドルなど引かずとも容易にウイリーする。こんな元気なツアラーは初めてである。しかし、一般道路を120km/hくらいで走り続けていると、4000〜5000rpmのトルクはもうちょっとほしいと思った。
 ハンドリングはそれほど重くない。峠道もスイスイ走れる。だが、路面をガッシリとつかむ感覚に欠ける。また100km/h上での危険回避的な車線変更を試みると、それほどクイックには反応しない。高速でハンドルを揺すると前後輪が互い違いに左右へ振れる感じの揺れも出る。
 ウインドプロテクションは抜群にいいし、普通に評価するなら、速くてスポーティーな、いいツアラーである。だが、エンジン振動がやや多いことなども含めて「新次元のツアラー」とまではいかないかもしれない。
 厳しくこのバイクを評価したかった。BMWを超えていて当然、その先の、我々がまだ知らない世界を見せてほしかった。そんな期待が大きすぎたのだろうか。もっとも、今回の1日300km程度の試乗で結論を出すのは早急すぎる。実際に長距離走行テストを体験してから、また報告したい。BMWのR1150RTと一緒に平均速度140km/h以上で1日10時間以上3日間連続という走りにおいて、僕の抱いた疑問が本当はどうなのかを確かめてみたい。日本では無理だ。