☆ビッグネイキッド比較試乗
 ビッグネイキッドと呼ばれる機種は、ますます充実しそうで目が離せない。まずスズキから、ついにあのGSX1400が登場した。それにカワサキもZRX1200を投入。さらにヤマハのFZS1000の逆輸入も始まる。コイツは面白くなる。バイクそのものもさることながら、ライダー諸氏の意識改革が始まるかもしれないと僕は思っている。
 などというジャーナリスト的見地とは別に、好奇心旺盛なひとりのライダーとして僕は、月刊モーターサイクリスト誌5月号の企画でタップリと最新ネイキッドを堪能し、楽しませていただいた。

☆GSX1400


 まずはGSX1400のプレス向け発表試乗会。新開発の油冷エンジンは、なんと1401ccという排気量。技術革新が急速に進むなかで、今さら恐竜時代か、という感じがしなくもないが、乗ってみればやはり、その排気量なくしては不可能な怒濤のトルク感があるのは事実。1速ギヤなら、わずか2000rpm以下で巨体を軽々とウイリーさせてしまうほどだ。さらに回せば、4000〜6000rpmに明確なトルクの山が待っている。一般的な市販車で、これだけ強烈なトルク感を味わえるバイクは、他にない。
 しかも、こいつがバケモノではないところが素晴らしい。巧みなインジェクションのセッティングなどで、誰でもスムーズにスイスイ走らせられる。それに、全開にしなくても、たとえば60km/h一定で流していたとしても、すごく「トルク感」を味わえるところもいい。普通の人が、普通に使っていて楽しめる。
 普通の使い方に的を絞った作り。それは操縦性にも言える。攻めると限界は低いしフラつきもが出ることもある。旋回性はたいしたものではない。高速での直進安定性も低レベルだ。しかし、普通の走りではいたってスムーズで乗りやすい。倒し込みの軽さが普段使いでの軽快感をうまく出している。
 超迫力のビッグネイキッド。その魅力を、普通の使い方で味わえる。これがGSX1400というバイクである。



☆ライバル対決試乗


 新たにデビューしたのはGSXだけではない。カワサキのZRX1200は、単に排気量アップしただけではなく、キッチリと熟成されてきた。従来から高い評価を得ている旋回性の良さを筆頭としたスポーツ性能は、その方向性を維持したまま、フレキシビリティを向上。そして、ハーフカウル付きの「S」バージョンは、外観だけでなく走りも固有のものを創造していた。フロントまわりのスタビリティが、小型カウル装着の「R」バージョンよりももっと高く、流れるような走りになっている。梨本Kは、極限まで攻めるにも「S」のほうがいいと言う。僕の場合は、峠道で遊ぶなら「R」、スポーツツーリングなら「S」という選び方をする。
 とにかく「R」にしろ「S」にしろ、ZRXは非常によくできていた。気軽さを備えながらも、しっかりしたスポーツ性を備えていて非常にお勧めである。
 とはいうもののZRXは、GSXやヤマハのXJR1300、それにホンダのCB1300といった古典的なネイキッドとは、同列比較するべきではないかもしれない。さらに、すでにレポートを掲載したヤマハのFZS1000ともなると、ZRXがぬぐいされないでいたネイキッドの「掟」を、完璧とは言えないまでもかなり超越していて、スポーツ性では他を圧倒するポテンシャルを備えている。パワーがあるとかの問題ではなく、パッケージングとその思想がまったく異なる。
 もう、ひとくくりにネイキッドと呼ぶのは無理がある。僕はスーパーストリートという呼び方を提唱しているが、そんなことよりも、である。ジャンル分けにこだわらず自分のライフスタイルに合ったバイクを選ぶという、あたりまえの視点を、ここでしっかりと持つべきだろう。リヤショックの本数など気にしてると、本質を見失う。
 つじ・つかさ/梨本K/土方大助のMC誌5月号対談は、やや過激にすぎたきらいはあるが、暴言もそのまま掲載されており、憤慨せずに読んでいただきたい。