☆2005年型ドゥカティ999R発表


 ドゥカティジャパンより7月15日、新型999Rに関するオフィシャルの日本語リリースが発表された。7月8日にアメリカはラグナセカでプレス発表されたものの日本語バージョンである。
 とりあえずは、アメリカ向けのモデルだ。アメリカで開催されているAMAのスーパーバイクレギュレーションは、市販車状態からの改造が許される範囲が厳しく制限されている。そのレギュレーションに合わせ、よりコンペティティブな仕様を市販状態から盛り込んだものだ。とは言え、日本も含めた他の各国にデリバリーされる2005年モデルの999Rは、基本的にこれと同じものになる。日本への導入時期や価格はまだ未定だ。
 現行モデルとの違いについて、一見して分かるのはフロントカウル。ラムエアダクトまわりの形状が特徴的である。ただし、それだけではない。まずエンジンは、クランクシャフトやピストン、そしてヘッドまわりを大幅にモディファイしており、11馬力アップの150馬力を発揮する。車体まわりでも、2004年型から採用された『R』専用のアルミ板プレス成形スイングアームは形状が変更されているし、前後サスの内容も進化している。
 標準的な999や999Sとは異なり、一般的なモデルとは言いにくい999Rだが、ドゥカティの旗艦であることは確か。2006年にはMotoGPマシンレプリカの4気筒マシン=デスモセディッチRRの市販も予定されているが、まずは現状の旗艦が着々と進化している様子を以下から読みとっていただきたい。
 以下に、ドゥカティジャパンより発表されたリリースをほぼそのまま掲載する。従来型から継承するメカニズムに関しての解説も多々あり、かなり長いものであるが、復習の意味と最新モーターサイクルの勉強の意味から、あえて省略しないで掲載する。

*************以下ドゥカティジャパンのリリース***********



DUCATI999R

さらにコンペティティブでパワフルなドリームドゥカティのために、パワー、エアロダイナミクス、スタイルが進化した。


今シーズンのアメリカン・スーパーバイク選手権(AMA)でドゥカティを代表するモーターサイクルをベースに、999Rはアメリカ市場向け(2005年以後は全世界向け)に大幅にアップグレードされた。新型フロントフェアリングと新型スイングアーム、サスペンション、最高出力150HPを誇る大幅にアップグレードされたエンジン、これら全てがスーパーバイクとしての存在をさらに高める。
 AMAのテクニカル・レギュレーションは、世界スーパーバイク選手権のレギュレーションよりもエンジンへの改良範囲が制限されるため、今シーズンよりAMAに復帰したドゥカティは、AMAレーシングバージョンの999Rに非常に近い技術特性を持ったエンジンを開発した。これらの非常に特別な条件に合わせて999Rを再設計し、よりパワフルで能力の高いコンペティティブなフラッグシップモデルに仕上げた。
 スタイリングのみならず技術面においてもレーシングバージョンに近いプロダクションバイクを常に製造してきたドゥカティの伝統において、新型999Rはまた新たな前進となる。



●エンジン
設計の特徴
 新型999Rに使用されるテスタストレッタの基本的なディメンションはMY04の999Rと同じである。従って、シリンダーボアは104mm、ストロークは58.8mm、総排気量は999ccであるが、最高出力と最大トルクは大幅に増加された。前モデルの最高出力102kW(139HP)/10000rpm、最大トルク108Nm(11kgm)/8000rpmと比べ、新型エンジンは最高出力110kW(150HP)/9750rpm、最大トルク116.7Nm(11.9kgm)/8000rpmを発揮する。
 これらの数値が新型999Rにとってどのような意味があるのか十分に理解するために、MEP(平均有効圧力)における変化を参考にする。エンジンの性能において重要な指標であるMEP値は、全行程(全4行程 吸入・圧縮・燃焼・排気)に渡って、エンジンが可能な仕事量を表す数値である。
 2004年999R テスタストレッタエンジンは、最大トルクでのMEPは13.6バール。一方、新型モデルは14バール以上で、これはドゥカティの市販車用エンジンが初めて到達した値である。最高出力でのMEPは、2004年999Rテスタストレッタエンジンが12.3バール、新型2005年モデルは同じ出力値で13.5バールである。2004年と2005年を比較すると、シリンダーアッセンブリへの大幅な技術改良により、新型エンジンの容積効率と熱力学的効率(混合気の吸入及び燃焼の効率)が著しく向上したことがわかる。
 このような状況において、ポート内の空気流量(通気率)が吸気ポートにおいて22.8%、排気ポートにおいて5.8%も増加したことは注目に値する。エンジンの全体的な最適化については、MY04の999R に搭載されたテスタストレッタエンジンよりも250rpm低いエンジン回転数において、前述の増加した最大出力に達するという事実によって証明される。
 エンジン回転リミッターは11000rpmに設定される。

○新型シリンダーアッセンブリ
 パフォーマンスの向上のため、完全に新設計されたシリンダーヘッドとピストンは、レース用に特別に設計された全く新しいコンポーネントになった。アルミニウム合金製ピストンは、高温度での広範囲な作動においても非常に高い形状安定性を確保する高度な技術により、鍛造し構成されている。ピストン形状の変更とヘッドの新しい燃焼室形状により、圧縮比は12.45(±0.5):1となった(前バージョンの999R テスタストレッタエンジンの12.3:1をやや上回る)。
 バルブリフト量の増加により、バルブシートはより追い込まれた。ヘッド部分は流体力学的に根本的な再設計が施され、より大径化されたバルブの使用を可能にするために、バルブの中心間距離を増加した。これに伴い、吸気/排気ポートの経路と形状も見直された。
 燃焼室内の乱流を改善するために、MY04の999Rテスタストレッタエンジンよりもスキッシュエリアを大型化した結果、燃焼効率の著しい上昇に繋がった。要約すると、新型999R エンジンのシリンダーに施された改良は、出力増加に加え、エンジンが“呼吸する“能力を大幅にアップさせたということである。これらの改良の成果は、スタンダードのエキゾーストシステム、サイレンサー、吸気システムを備える公道バージョンが全体的なパフォーマンスにおいて大幅に向上したことから確認できる。また、エンジンは既定の排ガス基準に準拠する。
 シリンダーヘッド/シリンダー間には金属製のガスケットではなく、燃焼室の外周部に「Wills シール」と呼ばれる特別なシールリングを採用している。大径のシリンダーの場合、完全な気密を維持するためにこの「Wills シール」が必要となる。シリンダーヘッドの全体的な再設計より、冷却水通路の仕様も見直された。バルブカバーはより軽量のマグネシウム製を採用した。

○タイミングベルト
 車両全体の重量の削減のためだけではなく、タイミングベルトの温度上昇を抑制するためにも、これまでドゥカティのレース用バイクにはタイミングベルトカバーは使用されてこなかった。しかし、タイミングベルトカバーはコースアウトして、グラベル上を走った時などに、タイミングベルトの保護に必要なため、今年になってドゥカティのR&Dは、749R同様、999Rにおいても強制空冷機能を備えたタイミングベルトカバーを装備した。前シリンダーのタイミングベルトカバーには小さいスポンジフィルターが付いた吸気口が備わる。吸気口はフロントアンダーパネルに取り付けられる。ここで取り入れられた空気はタイミングベルトハウジング内を通過し、後シリンダーのタイミングベルトカバーの最上部に設けられたNACAダクトから排出される。

○エンジン回転数とフェーズタイミングギア
 タイミングシャフトに新たなタイミングギアと磁気誘導センサーを採用。センサーからECUにシグナルが送られ、エンジン回転数と作動行程(フェーズ)を検知する。前バージョンのテスタストレッタエンジンの様なタイミングギアの歯先をセンシングしない代わりに、ギア表面の外周に設けられた機械加工された突起を使用している。これにより磁気誘導センサーから、よりクリアな電気信号をもたらす。

○クランクケースとディープオイルサンプ(深型オイルパン)
 新型999Rのクランクケースは、限定的なこの製品をさらに際立たせる砂型鋳造製である。ディメンションはMY04 999R テスタストレッタエンジンと同様。シリンダーアッセンブリを取り付けるスタッドボルトは、大径のシリンダー(104mm)を取り付けられるような位置に配置されている。潤滑回路の構造は、いかなる車体姿勢(たとえば、急加速時、フロントホイールのリフト時)においても、オイルポンプが常にオイルを吸引できるように、ドゥカティレーシングエンジンの基本的な特徴でもある「深いオイル溜め」を採用している。

○クランクシャフト
 新型999Rに搭載されるテスタストレッタエンジン・クランクケース内部の構成部品は、クランクシャフト以外、MY04 999Rからの大幅な変更はない。クランクシャフトには新しい形状が採用された。最適な形状を得るために、ほぼ全周にわたり機械加工で削り出されている。このため、完璧にバランスのとれたクランクレイアウトを維持しながらも、軽量化を達成した。クランクピン内部のオイルラインは、完全に新設計された。そのラインは、もはやクランクピンに対して水平にはレイアウトされず、2つのメインジャーナルを直接斜めに繋いでいる。この方法は、オイルラインを切削する機械加工によって開けられた穴を塞ぐために必要であった栓(ブラインドプラグ)の数を削減する(3個から1個に)事を可能とした。パンクルによって製造されたコンロッドは、重量削減のためにチタニウム製である。



○バルブ
 新型999R のテスタストレッタエンジンの吸気・排気バルブは、チタニウム製バルブを選択している。大幅な軽量化を達成すると同時に、高回転下での極度の加速度による負荷に対して信頼性を維持した。吸気バルブ径42mm/バルブリフト量13.0mm、排気バルブ径34mm/バルブリフト量11.5mm。MY04の999R エンジンは、吸気バルブ径40mm/バルブリフト11.71mm、排気バルブ径33mm/バルブリフト10.5mmであった。また、チタニウム製バルブを使用することにより、バルブシートとバルブガイドには特別な材料が必要であった。バルブタイミングは、前バージョンの999Rからの大幅な変更はないが、カムについては全く新しい形状になった。吸気バルブは上死点前21°でオープン、下死点後53°でクローズ(前バージョンは上死点前16°でオープン、下死点後60°でクローズ)。排気バルブは下死点前60°でオープン、上死点後20°でクローズ(前バージョンはオープンは同じ、クローズは上死点後18°)。吸気・排気バルブの傾き(挟み角)は前バージョンと同様で、シリンダーヘッド中心軸から吸気側12°、排気側13°となっている。
 クロージングシムの固定&調整システムはスーパーバイクレース用エンジンから受け継がれた。クロージングシムはデスモドロミックタイミングによって作動するクローズ側ロッカーアームに作用する。シムの厚みは、シム表面とフォーク形状のロッカーアームの先端の間のクリアランスを決めている。このクリアランスは、バルブがバルブシートに着座する際に、タイミングコンポーネントに与える機械的ストレスに大きく影響するため、非常に精密な調整が必要とされる。また、基準値に近い状態でなければならないバルブタイミングにも影響を及ぼす。
 通常ドゥカティエンジンに使用されているバルブクロージングシムの機構は、2つのハーフリングをバルブステムの上端付近の溝に収めた構造である。シムはこの2つのハーフリングにかみ合っている。しかし、トップスピードで回転するレース用エンジンにおいてこのシステムは、明らかな限界がある。このような状況下において、ハーフリングは極度の機械的ストレスを受けて変形し易く、それ故シムとロッカーアーム間の安定したクリアランスを保証できない。
 このため、新型999Rのテスタストレッタエンジンには、バルブステムを取り囲む2つのチタン製ハーフコーンを採用した。ハーフコーンの内側表面には弧状の突起があり、それがバルブステムの先端付近に掘られた溝にかみ合う。この溝はハーフリングシステムの溝に比べて浅い。さらに、この2つのコーンは、スチール製クロージングシムによって勘合されると摩擦の力によってバルブステムをホールドするため、溝周辺の機械的ストレスを大幅に軽減する。これにより、新型999Rのバルブステムは、他のテスタストレッタエンジンに使用されている7mm径ではなく、更なる軽量化を達成する6mm径のステムを使用することが可能となった。ハーフコーンはシムと完全に結合しているため、強度の機械的ストレスを受けても変形しにくい。そのため、エンジンの回転中に、クロージング側のバルブクリアランスが従来よりも安定して保たれる。
 すでに記述したように、前バージョンの999Rテスタストレッタエンジンよりもバルブの中心間距離が増加されたため、より大径の傘を持ったバルブを使用することが可能となった。それぞれのバルブは従来よりも外側に(ポートに対して直角に)0.75mm移動。ステムの中心間距離は1.5mm増加した(排気バルブ軸間が43mm、吸気バルブ軸間が46.8mm)。また、バルブシートについても従来のエンジンに比べてより深いマウント位置になった。結果としてバルブは、新設計されたより広いスキッシュエリアを持つ燃焼室の中心により多く突き出す。燃焼室の容量は、従来のエンジンのヘッドよりも少ない。前述のとおり、圧縮比の増加はピストンヘッドの高さを削減することにより制限される。

○吸気/排気システム
 新型999Rの吸気・排気システムは、大容量のシングルサイレンサーと集合部分のないエキゾーストパイプを備える前バージョンからの変更はない。特に、フロントエキゾーストパイプよりも短いリアのエキゾーストパイプは、両方のエキゾーストシステムが流体力学的に同等になるように断面積を変える事によって(45mmから55mmに変化するフロント側と、45mmで変化しないリア側)長さの違いを補っている。さらに、リアのエキゾーストパイプはサイレンサー内部にまで伸びている。
 公道仕様の999Rに使われている、テスタストレッタエンジンにはシリンダー毎に三元触媒が備わる。フロントシリンダー用は、エキゾーストパイプ中間付近にあり、リアシリンダー用はサイレンサーの第一膨張室に内蔵されている。エアーボックスは大容量(12.5dm3)で、998の様に燃料タンクの下面によって蓋をされてはいない。フロントフェアリングの取り入れ口からエアボックスまでを導くエアダクトは、エンジンパフォーマンスを犠牲することなく吸入騒音を低減するためにヘルモッツ式レゾネーターを備える。右側のエアダクトには冷却水のタンクが統合されている。



●車体を構成する部品
○フレームと両持ちスイングアーム
 高い剛性を持つスチールパイプで出来たトレリスタイプのフレームは、前バージョンの999Rから大きな変更はなされていない。フレームに取り付けられたエンジンは強度メンバーであり、捻り剛性に貢献している。市販車ではキースイッチが取り付けられているフレームの一部分は、選手権の規定に沿ったレース用大容量ガソリンタンクが搭載できるように取り外しが可能である。ステップは2つのポジションに調整が可能。
 ダイナミックなライディング(加速・減速・コーナリング)の際に重要な役割を果たす、個々の部品の配置や重量の配分に関しては極めて注意深く作業がなされた。つまり、部品を可能な限り集中させることによって質量がかかる力点を短縮し、生み出される慣性力を減らしてレスポンスの良いハンドリングを実現することが可能となる。
 更にもう一つの理由としては、DUCATIは「部品は可能な限り統合する」と言う基本原則に従い、少ない容積で部品を集積する目的のためのデザインを行なった。
 スイングアームはスーパーバイク選手権に参戦している999の物とまったく同じである。スイングアームピボット部は鋳造であり、双方のアームは、
2枚のプレスした板を溶接し箱状に形成した物である。左側のアームには、下側に補強メンバーも装着されている。スイングアーム後端に溶接されている、アクスルシャフトを固定するための鍛造部分には、チェーンが伸びきった時に一定以上にホイールベースが長くならないように折れ込みボルトが取り付けられている。ホイールベースは999と同じである。そしてホイールの中心軸とスイングアームピボット軸の軸間距離は490mm±12.5mm(チェーン調整用の溝の可動範囲)である。もし、チェーン調整部の折れ込みボルトを取り外しホイールを一番後方まで動かした場合には、その距離は512.5mmまで増やせる。ホイールベースを長くした場合、加速減速時の安定に寄与する(効率的な加速を保証しつつ、フロントホイールのリフトや後輪のグリップ不足といった車体の不安定要因を減らすことが可能である)。

○鍛造アルミホイール
 前後のホイールは鍛造アルミニウム製で、強度を保ちつつ軽量化を可能にするテクノロジーの産物である。素材が均一であるために、鋳造に比べてより薄くすることが可能である。軽量ホイールはバネ下重量の削減(サスペンション性能を向上するのに重要である)だけでなく、ジャイロ効果の影響を少なくし高速走行時のハンドリングの向上をももたらす。(バイクは、より鋭くコーナーへ進入する)鍛造は、数千トンが加わる特殊な型で油圧プレスされる。素材は元々の分子構造を維持したまま成型され、大幅に加工された部分でさえ機械的特性は保証されているのである。一方、鋳造は金属を分子構造が変化した液状にする必要があり、素材は鋳型に注がれてから冷やされる。素材は、鋳型を完全に満たすという保証はない。機械的強度を満たすために、鋳造は鍛造に比べて重く、厚くなる必要がある。

○フロントフォークと新型リアショック
 チタン・ナイトライド加工され滑らかに動くインナーチューブを持った、新型のOHLINS製フロントフォークには、ブレーキキャリパーがラジアルマウントされている。フロントフォークのバネの巻き径は、より小さくなった。そして、そのスプリングのガイドは、金属ではなくプラスチック製である。これは、オイルの汚れの原因となる金属の摩滅を減らす。カートリッジダンパーの下部セクションにはトップアウトスプリングが新たに装着され、暴力的な加速をした時のフロントフォークの伸長時にメインスプリングが伸びきる動きを抑制する。以前より使用しているステアリングヘッドの可変システムは、キャスター角(23.5度と24.5度)とトレール量の変更(91mmと97mm)を可能にする。
 リアショックはワンウェイバルブによって、伸び側減衰を完全に独立して調整できるように変更された。これにより、圧側の減衰力は伸び側の減衰力に左右されることが無くなった。

○フェアリング:新型フロントフェアリング
 ヘッドライトマウントと新型バックミラーマウントは鋳造マグネシウム製になった。エアコンベイヤー付のサイドフェアリング、フロントアンダーパネル、フロントフェンダー、チェーンガード、サイレンサーヒートシールド、アッパーフェアリングは全てカーボンファイバー製である。
 一方、テールカウルはテクノポリマー製である。 アッパーカウルが変更されて上部のエアーベントが廃止され、スクリーン形状も変更されているが外見的には前バージョンの999Rの面影を残している。改善されたエアロダイナミクスとは関係なく、新しいアッパーフェアリングは、ライダーがタンクに伏せる姿勢をとると、高速走行時の風圧から保護し、インストルメントパネルの視認性も高めている。(ウィンドウスクリーン縁の黒いセーフティラバーはメーターパネル警告灯の視認性を妨げない。)


●電装系
○より高度化されたエンジンコンピューター
 新しい999Rのコンピューターは前のモデルと同じセンサー類をそのまま引き継いでいる。 が、コンピューターそのものはマニエッティマレリ社製IAW 5M2 に変更されていて、より多くの情報入力に対応できるようになっており、将来のレギュレーションにも対応できるようになっている。
 これもまたマニエッティマレリ社製であるインジェクター(IWPR2型)は、レース用車両の部品と同じもので、同一の開弁時間でもより高流量の特性を持つ。一つのインジェクターは12個の噴霧口を持ち、より確実で安定した供給をもたらす。噴射の形状と極めて細かい燃料の粒子は、すぐれたエンジン特性を基本部分で支えている。
 プラグは沿面点火のチャンピオン製RG59Vを使用する。 このプラグは従来型のような突出した電極を持たず、定まった位置のみの火花ではなく、むしろ周辺から最適化された火花を飛ばす。これは、ミスファイヤーの可能性を大幅に減少させ、アフターファイヤを無くすのである。イグニッションコイルはスティックタイプで、それぞれのプラグに装着される。コイルのエレクトリックコネクターは、コイルボディには設置されず、振動で損傷する可能性を排除している。

○CANライン−より簡素化された電装系

CAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)ラインは、主にインストルメントパネルとエンジンコントロールユニット(マニエッティマレリ製IAW 5M2)との間で使用され、結果、電装系が簡素化され、重量が軽減されている。設計者は、ワイアーハーネスの束を抑制するために重複するセンサーを排除した。したがってセンサーからの信号は、車載された複数の制御装置に共有されなくてはならない。CANラインは、直近の制御装置に送られた信号をネットワーク上に送信し、その信号を必要とする他の制御装置が取り込むことが可能である。CANネットワークは、精密で完璧に認識可能なデジタル信号を送信する2 本の配線だけで構成されている。ネットワーク上のノード(Node)である、インストルメントパネルとエンジンコントロールユニットは特別のハードウェアを有し、各ユニットを識別する情報が含まれた一連の電気パルスを認識するのである。たった2本の線で構成されたこのテクノロジーの採用は、エレクトリカルシステムの大幅な簡素化に寄与している。

●主要諸元
エンジン:デスモドロミックL型2気筒、水冷、4バルブ
ボア×ストローク:104mm×58.8mm
総排気量:999cc
最大出力:150馬力/9750rpm
最大トルク:11.9kgm/8000rpm
圧縮比:12.45:1
インテークバルブ径:42mm
インテークバルブリフト量:13.0mm
エキゾーストバルブ径:34mm
エキゾーストバルブリフト量:11.5mm
インテーク/エキゾーストバルブ材質:チタニウム製
バルブ挟み角:25度
バルブタイミング(1mmリフト時、クリアランス0mm)
インテーク:開き始め 上死点前21度
インテーク:閉じ終り 下死点後53度
エキゾースト:開き始め 下死点前60度
エキゾースト:閉じ終り 上死点後20度
コンロッド軸間距離:124mm
コンロッド材質:チタニウム製
1次減速比:32/59
ギア比 1速15/37 2速17/30 3速20/28
4速22/26 5速23/24 6速24/23
最終減速比:15/36
クラッチ形式:乾式多板
オイルポンプ:ギア式
潤滑系容量:3.8リットル
発電機:480ワット
エンジンコントロールユニット(燃料噴射・点火制御))マニエッティマレリ製IAW 5M2
点火コイル:スティックタイプ・ダイレクトイグニッション
インジェクター(1気筒あたり1 個):IWPR2 12孔タイプ
盗難防止システム:ECUに統合されたイモビライザー

車体
フレーム:トレリスタイプ スチールパイプ製
トレール:91-97mm
キャスター角:23.5度-24.5度
ホイールベース:1420mm
フロントサスペンションストローク:120mm
フロントフォーク径:43mm
リアサスペンションストローク:71mm
リアホイール作動量:128mm
前後ホイール:フロント:3.50×17" リア:5.50×17"
フロントタイヤ:120/70 17
リアタイヤ:190/50 17
最低地上高:125mm
シート高:780mm
ステップ高:387mmまたは410mm
全幅:730mm
ハンドルバー高さ:671mm
全長:2095mm
ハンドル切れ角:左右28.5度
乾燥重量(バッテリ・液体を含まない):181kg
フロントブレーキディスク径:320mm
リアブレーキディスク径:240mm
フロントブレーキキャリパー(ラジアルマウント):34mm(ピストン径)
リアブレーキキャリパ ー:34mm(ピストン径)
フロントブレーキマスターシリンダー:18mm(ピストン径)
リアブレーキマスターシリンダー:11mm(ピストン径)

<以上>