☆2004年型ホンダCBR1000RR発表


 ホンダの欧州現地法人であるホンダ・ヨーロッパ・モーターサイクル(本社イタリア/ローマ)は、2003年9月10日19:00(日本時間9月11日03:00)に、欧州市場向け2004年型新機種の発表をオランダはアムステルダム市内で発表した。そこでCBR1000RRも登場したのである。
 最高速度を誇るのではなく、もっと違う高性能の形はないものか。人間が公道で操りきれる、そして度胸勝負ではないスポーツの汗を流せる、そんなスーパースポーツの極限を模索しよう。となると、車体のサイズと重量は600ccクラス程度が限界だ。しかし、アウトバーンの合流などで他の高速車にひけをとるわけにはいかない。公道スポーツだから、適度に厚い中速トルクも必要だ。排気量はどのあたりになるのか……。こうした思想とプロセスから1992年、初代CBR900RRファイアーブレードが誕生した。
 RRはきっちり2年ごとのモデルチェンジを繰り返し、確実に進化していく。他メーカーはしばらくの間、傍観者だった。しかし1998年、ヤマハがYZF−R1を放つ。そして2001年、スズキからGSX-R1000が登場。パワーの誇示ではなくトータルバランスだと唱えてみても、ライダーたちは速さの魅力に飛びつく。そしてライバルたちは、パワーだけでなく総合的な速さもどんどん身につけていく。さらに、2003年からSBKの車両規定が4気筒車も1000ccまでOkとなり、これに対応しないわけにはいかなくなる。
 こうした背景から、従来のモディファイなどではなく、まったくの新型車として開発されたのが、このCBR1000RRだ。名称的には従来の流れを引くが、エンジンから車体まですべてが新規設計である。


 デザインは、ひとめでホンダ車と分かるもの。MotoGPマシンRC211Vのイメージを投入することは分かっていたし、すでにCBR600RRもデビューしていることから、やはりこうなったか、という感じである。まとまってはいるが、正直なところもう少し予想を裏切るスタイリングにしてほしかったと僕は思う。

 テクニカルなものに関しての発表内容は下記にある。馬力や車重といった数値などは、カワサキZX-10R同様にまったく発表されておらず、他メーカーや一般社会の様子を見てから、といっところだろう。YZF−R1だけがストレートに数字を提示した形だ。さて、どうなるのか?
 新設計エンジンは、総幅の増加を抑えるためにボアサイズやシリンダーピッチは従来型を踏襲。ストロークを54mmから56.5mmに伸ばすことで、総排気量を998ccにまで拡大した。ストローク増大による二次振動をキャンセルするため、バランサーを装備する。また、クラッチの位置やシフトリンケージからも分かるように、主要3軸はYZF-R1やCBR600RR同様のトライアングル配置とし、エンジン前後長を短縮している。ミッションはカセット式である。とにかく、ホンダの総力を挙げた軽量コンパクトでハイパワーなパワーユニットであることは間違いなかろう。宿敵GSX-Rを確実に上まわる加速力とコーナリング性能を確実に達成する。これが絶対命題だったはずだから。


 しかし、先にYZF−R1の紹介でも述べたことだが。  公道での『快汗スポーツ』をメインテーマとし、このジャンルを創造したRRなのである。そうした内容がどこまでこの新型RRにこめられているのか、期待と不安が交錯する。ユーザーそっちのけでメーカー対メーカーの争いになっていないことを祈る。
 という不安はあるにしても、技術の進歩の実体は、やはり早く見てみたい。そして、乗ってみたい。バイク乗りたるもの、この気持ちなしに机上論だけのきれい事を言うようになったらおしまいだと思う。技術の使い方がどこへ向いているかは大いに論議されるべきだが、『真の高性能』や『真の進化』は賞賛されるべきである。すべては、乗ってみてから。
 以下に、本田技研工業(株)より提供されたリリースを、ほぼそのまま掲載する。ここで使用している画像は同社、及び欧州のホンダ広報サイトの提供によるものだ。また、より詳しいリリースは英文ながらPDFファイルで 04CBR10RR_0.pdf右にある。

*************以下ホンダのリリース***********


●●●●●CBR1000RRの概要  水冷4ストローク直列4気筒1000ccエンジンを搭載したオンロードスポーツモデル。
 CBR900RR Firebladeは1992年にデビュー。今回は、2002年以来のフルモデルチェンジとなり、新開発エンジンの排気量は998ccにアップしている。
 世界スーパーバイクとAMAスーパーバイクの両選手権のレギュレーション改訂に伴い、スーパーバイク・レースに勝てるポテンシャルと、エキサイティングな走りに焦点を絞り開発された。従来のモデルに較べコンパクト化された新開発のエンジンに、CBR600RRで搭載されたラムエア・インダクション・システムとデュアル・シーケンシャル・インジェクション・システムが加わり、強烈なトップエンド・パフォーマンスを実現している。
 スタイリングやシャシーはMotoGPチャンピオンマシンRC211VのDNAを継承している。加えて、革命的とも言える世界初の新技術、ホンダ・エレクトロニック・ステアリング・ダンパー(HESD)が採用され、高速時に発生する不快なステアリング振動を効果的に低減し、快適な走行を実現している。
 さらにCBR1000RRは、街乗りからサーキット・レースまでを主要ターゲットとしている。各国の排出ガス基準に適合すると同時に、レースでも通用するトップ・パフォーマンスを獲得している。


●世界初の新技術ホンダ・エレクトロニック・ステアリング・ダンパー(HESD)
 世界的に知られる油圧関連コンポーネントやサスペンションのメーカー、カヤバ工業株式会社との共同開発によるHESDは、以下の主要コンポーネントによって構成されている。
1)ステアリング・ヘッド上にマウントされた世界初の電子制御による油圧式ロータリーダンパー。
2)フューエル・インジェクション・システムECUに一体化されたコンピューター制御性ステム。
3)スピードメーター用と統合された、車速/加速をモニターするセンサー。
4)インストルメント・コンソールの警告灯。システムに何らかの不具合が発生した場合、その状況を視覚的に伝達する。
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 この新しいエレクトロニック・ステアリング・ダンパー・システムは、既存のステアリング・ダンパーのように減衰力を固定せず、車速や加速度などに応じて自動的にダンパーを制御し、多様な走行条件にわたって理想的な減衰力特性を維持する。低速走行時は低い減衰特性を維持し、軽快なハンドリング・フィールを提供する。一方、高速走行や加速時には、最大減衰力特性を発揮する。
(ステアリング・ダンパー=ハンドル振動低減のために減衰力を付加するための装置)


●ユニットプロリンク・リアサスペンション・システム
 RC211Vに採用されているユニットプロリンク・リアサスペンション・システムを採用。リアダンパーとサスペンションリンケージのアッセンブリーは、スイングアーム上部に装備され、フレームにはマウント部を持たない構造。このため、サスペンションから伝わるメインフレームへの衝撃が減少する。


●Newフロントブレーキシステム
 CBR1000RRでは、最新のハイパフォーマンス・フロントブレーキを装着し、トップスピードからのスムーズな減速を得るとともに、コーナー進入時に意のままのコントロールが可能となっている。今回新たに採用したラジアルマウントキャリパーは、3本のラテラル・ボルトによってしっかりとホールドされ、強靱なグリップと、パッド面全体に均一に圧力を分配する剛性の高い構造となっている。
 このラジアルマウントキャリパーと、新開発のバーチカルピストン・マスターシリンダーの組み合わせにより、高効率でコントロール性に優れたフロントブレーキとなっている。


●New PGM-DSFI(デュアル・シーケンシャル・インジェクション・システム)
 このシステムは、それぞれ独立した2個のインジェクターを組み合わせ、セット化していることを特徴とする。従来の第1インジェクターに加え、第2インジェクターをエアクリーナー上部に配置。第2イジェクターは、5000rpmを上まわる回転域で、かつスロットルが大きく開いた場合にのみ作動するようプログラムされている。コンパクトな2インジェクション・システムを実現するとともに、最強のパフォーマンスが得られるよう工夫を施している。

●Newセミクローズドデッキ、シリンダーブロック
 現代的なオープンデッキ鋳造技術により、軽量で精密性の高いエンジンブロックの製造が可能となった。CBR1000RRのコンパクトなエンジンには、モーターサイクルでは初めて、非常にシンプルな”セミクローズド”デッキブロックが採用され、革新的なニュー・ブリッジをシリンダーボアの上部とブロックのアウターウォール間に一体成型することで、エンジンの高回転域でのフリクションを抑え、耐久性と信頼性を高めている。


●New鍛造アルミニウム・ピストン
 高回転型ハイパワーユニットを完成させるには、稼働マスと摩擦ロスを最小限に抑えることがカギとなる。CBR1000RRのニュー軽量鍛造アルミニウム・スリッパーピストンは、大胆な表面処理技術を特徴としている。その技術が適用されたサイドスカートは、ピストンがPMC(パウダー・メタル・コンポジット)のシリンダースリーブを上下する際に発生する摩擦ロスを大幅に軽減している。これは単なる表面コーティングではない。摩擦の少ない高純度二硫化モリブデン粒子を、常温&高圧でサイドスカートに吹き付け、アルミニウム表面との化学反応により、スカート奥深くに着床させている。


●センターアップ・エキゾーストシステム
 CBR600RRにも搭載された4-2-1センターアップ・エキゾーストシステムは、エンジン下を通し、リアタイヤを回避し、シートカウル下部に配置する大容量サイレンサーへとつながっている。マシンまわりのエア・ストリームからエキゾーストシステムを隔離することにより、乱流や空気抵抗を解消するとともに、コーナリング時のバンク・クリアランスを最大限に確保するデザインとなっている。


●New可変排気バルブシステム&ラムエアシステム
 シート下にレイアウトされたエキゾーストパイプ内に装着される新型バルブを、ECU制御によるサーボモーターで駆動。かつ、エアクリーナーのラムエアシステム・フロント・エントランスに装着されたフラップを、ECU制御のダイヤフラムで駆動。これらのシステムを採用することで、広い回転域にわたって強力なパワーとトルクを維持している。


●ファイン・ダイキャスト&薄肉中空重力金型鋳造フレーム
 RC211Vで確立されたフレームボディ形状を踏襲し、ヘッドパイプにファイン・ダイキャスト、ピボットプレート及びエンジンハンガー部に薄肉中空重力金型鋳造を導入したアルミフレームを新たに採用。比較的シンプルな構造をもつこのフレームは、剛性と強度に優れ、俊敏なハンドリング特性を実現している。

●脱鉛ホイールバランス・ウエイト
 環境に配慮し、ホイールバランス・ウエイトの素材を鉛から亜鉛に変更している。

●盗難抑止システムとして「H.I.S.S.」を標準装備。


●カラー(主体色/アンダーカウル色)
 パール・フェイドレス・ホワイト/マット・パレンツ・ブルー・メタリック
 ウィニング・レッド/マット・ガンパウダー・ブラック・メタリック
 ブラック/マット・ムーンストーン・シルバー・メタリック

●●●●●主要諸元 CBR1100RR Fireblade(ED-type)
エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量:998cc
ボア・ストローク:75×56.5mm
圧縮比:11.9
潤滑油要領:3.9L
燃料供給装置:インジェクション(PGM−DSFI)
スロットルボア径:φ44mm
燃料タンク容量:18L
フレーム:アルミ製ツインスパー
全長/全幅/全高:2025/735/1120(mm)
軸間距離:1410mm
キャスター/トレール:23度45分/102mm
最低地上高:130mm
Fサスペンション:φ43mm倒立フォーク ストローク=120mm
Rサスペンション:ユニットプロリンク アクスルトラベル=135mm
ホイールサイズ:F=17×MT3.50 R=17×MT6.00
タイヤサイズ:F=120/70ZR17 R=190/50ZR17
Fブレーキ:φ310mm/t5mmセミフローティングディスク×2
      ラジアルマウント対抗4ポットキャリパー×2
Rブレーキ:φ220mm/t5mmソリッドディスク×1
      ピンスライド型1ポットキャリパー×1

<以上>