☆2004年型カワサキVN2000発表


 カワサキの2004年モデルレポートの、第3弾である。総排気量がなんと2,053ccという巨漢パフォーマンスクルーザーだ。一般市量販販車最大という表現は、今回、トライアンフがDOHC4バルブ縦置き直列3気筒で2,294ccの『ロケットIII』を発表したため叶わなかったが、Vツインとしては間違いなく一般量販市販車最大。ホンダのVTX(1,794cc)を越えることに成功している。今の時代に大艦巨砲主義なのか? という声が出るかもしれないが、その巨大な排気量のバイクに乗ってみたい、という欲望が湧くライダーも正直なところ少なくなかろう。ハーレーのビッグツインを超える総排気量設定は控えていた時代は、とっくに終わっているのである。
 エンジンの動弁系はOHV形式。プッシュロッドの存在や、ヘッドをコンパクト化できることから、美しい外観が実現している。巨大になりがちなエンジン高の抑制の面からも、OHCやDOHCは避けたかったはずだ。ピークパワーをねらう高回転型ではないのだから、OHVでも不都合はないのである。そんなクラシックな構造の一方で、高度な電子制御システムを導入し、吸気系もデュアル・スロットル・バルブを持つインジェクション。最新技術が駆使されているのである。
 以下にその概要をカワサキ広報より発表のPDFデータを元に、内容をtsujiの判断でやや簡略化した文章を、同広報提供の写真とともに掲載する。

*************以下カワサキのリリース参照レポート***********


---------------------------------------------
マーケティングコード : VN2000A
モデル名称 : VN2000 (欧州)
Vulcan 2000 (米国/カナダ/オーストラリア)
---------------------------------------------

【モデルコンセプト】
 V型2気筒としては世界最大排気量となるエンジンを搭載したVN2000。クルーザーシリーズのフラッグシップとして比類の無い存在感を持つ。VN2000の最大の魅力は巨大サイズのエンジンと圧倒的なパワーにあるのは勿論のこと、最新技術を投影したデザインと伝統的なデザインが高度に融合された、緻密で流れるようなボディスタイリングも、もうひとつの重要な要素。なかでも3眼式の“ガトリング”プロジェクターランプを組み込んだヘッドライトは、最も特徴的なものといえる。
 すべてを新開発したのエンジンは、量産モーターサイクル用V型2気筒としては史上最大となる2,053ccの排気量。この“最大”を誇るパワーユニットは、力強いトルクとハイパワーを生みだすばかりではない。52度の傾斜角をもってクランクケースにそそりたつ美しく巨大なシリンダー、その脇で存在を主張するプッシュロッド、曲線美を描くエンジンカバーなどによって構成される“最も美しい造形”を備えるエンジンでもある。
 雄大で低くのびやかなスタイリングは、見るものに強烈な印象を与える。カワサキ・クルーザーシリーズのトップモデルに相応しい高品質な車体各所の造形パーツ、そしてロングクルージングに求められる快適性とライダーが迷うことなく身をゆだねられる信頼性。VN2000は“フラッグシップ”と呼ぶに値するすべてを備える。

【概要】

★美しい外観と高出力かつスムーズな回転フィーリングを併せ持つ、シリンダー傾斜角52度の水冷OHV2,053ccV型2気筒エンジン。高機能の燃料噴射システム、ライバルを置き去りにする圧倒的なトルクと溢れ出るようなパワーフィール、そしてスラッシュカット・マフラーが奏でる刺激的なエキゾーストノートと心地よいVツインの鼓動。すべてのパフォーマンスが他のクルーザーモデルの追随を許さない。
★大容量を実現した燃料タンクとタンク上に組み込まれた薄型スピードメーター、外観はリジッドながらシングルショック機構を採用したリヤサスペンションなどは、最新の機能を持ちながら、伝統的なクルーザーモデルのスタイリングを忠実に踏襲。
★低いシート高、静粛性に優れたベルトドライブ、200mm幅のリヤタイヤによって、極低速での移動から高速クルージングに至るまで、状況を選ぶことなく常に信頼感のあるハンドリングと圧倒的な走行安定性を実現。

【主な特徴】
★★★エンジン

★2,053ccの排気量を誇る水冷OHV4バルブV型2気筒エンジン。ボア×ストローク=103×123.2mm。
★4バルブのシリンダーヘッドのセンターに配置した、イリジウムプラグと高電圧コイルによって高い燃焼効率を実現。
★チェーン駆動の2本のカムシャフトによって作動するプッシュロッド機構を採用。シリンダー右側にシリンダーブロックから独立させて配置。
★バルブ挟み角を35度に設定。この設定はシリンダーヘッドの高さ低減にも貢献。(バルブ径:IN/EX=40/36mm)
★ロッカーアームに配置した油圧バルブ・ラッシュアジャスターと、高品質SKD材を使用した軽量タペットの採用によって、軽量化と耐久性の向上をはかった。
★耐摩耗性が高く放熱性に優れたメッキシリンダーを採用。クーラントジャケットをシリンダー上部のみとして、クランクケースにむかって絞り込まれた美しいシリンダー形状を実現。また、シリンダーヘッドまで続くフィンは、冷却性と美観を両立させた形状。

★高性能スポーツエンジンのピストンと同様のショートスカート形状を持つ軽量で強度に優れた薄型鍛造ピストンの採用は、エンジン振動の軽減にも貢献。(圧縮比=9.5:1)

★オイル噴射によるピストン冷却をおこない、ピストン温度を適切に制御。
★軽量合金製のコンロッドはエンジンの振動低減に貢献。

★220mmの超大型フライホイールをもつクランクシャフトによって、優れた低回転域のトルク特性を実現。

★巨大なトルク変動のを緩和するダンパーをクランクシャフト左側に設置し、トランスミッションへのトルク変動による衝撃を制御。
★1次減速をチェーン駆動としてギヤノイズを低減するとともに、アイドリング時の心地よいエンジン鼓動をより鮮明にライダーが感じられるようにした。
★エンジン左側の造形を考慮してクラッチをエンジン左サイドに配置。また、操作時のレバーに伝わる感触を重視したケーブル式のクラッチリリースを採用。
★ECUの制御対象は次の8項目。燃料噴射時期および噴射量・サブスロットル開閉・点火時期・ラジエターファン作動・デコンプ・スターターモーター・燃料ポンプ。
★クランク室とクラッチ室、それぞれにスカベンジングポンプを設置。
★カムシャフトを含め、計11本のシャフトを格納する上下一体式の大型クランクケースを採用。オイルポンプとウオーターポンプをクランクケース内に収めることで部品点数を削減。また、エンジンをフレームの一部とすることによって車体剛性を高めた。
★外部オイルラインを不要としたセミドライサンプを採用し、クランク周辺のオイル攪拌によるパワーロスを抑制。
★シリンダーヘッドへのオイル供給を、ブロックから独立させてシリンダー左側に配置したパイプ経由とし、左右対称デザインの美しいエンジン外観を実現。
★1次振動はバランサーを完全同調させることで打ち消し、2次振動はピストンとコンロッドの軽量化によって低減させる、2軸1次バランサー機構を採用。その結果、不快周波の振動を低く抑えながら、心地よいエンジン鼓動感を生み出す。
★デュアル・スロットル・バルブを持つ大径46mm のスロットルボディの採用によって、低中回転域での圧倒的なトルクと、淀みなく滑らかなパワーバンドを実現。
★デュアル・スロットル・バルブの、メイン・スロットル・バルブはライダーのスロットル操作で、サブ・スロットル・バルブはモーターで作動する。この機構により、急激なトルク変動を緩和して滑らかなパワー特性を実現。
★微粒化インジェクターの採用によって、卓越したパワー特性、低燃費、排出ガス中の有害物質の削減を合わせて実現。(従来型インジェクターの噴射飛沫=120ミクロンに対し、微粒化インジェクターの噴射飛沫=70クロン)
★高発電量の大径φ226mmのACジェネレーターをクランクジャーナルの内側に配置。その結果、フライホイールマスの増加にも貢献。
★エンジンカバー部品は全て2〜3段階の組み付け構成としてメンテナンス性を向上。また、トランスミッションカバーのクロームメッキ部分はオイル貯留室の機能も併せ持つ。
★前後シリンダー間の右側に、クロームメッキカバーで覆った小型エアクリーナーを設置。
★排出ガス中の有害物質の削減のため、マフラーにハニカム触媒を内蔵。またマフラー間の2本の連結パイプによって排気効率向上。
★電磁式オートデコンプを装備して、優れた始動性を実現。
★自動式ファーストアイドル機構によって、冬期の早朝時にも適応した、優れた始動性を実現。
★エンジンが発生する巨大なトルクを確実に伝達する、大型ギヤを採用した5速トランスミッションは、高い信頼性を確保。また、選択されているギヤをECUに知らせるギヤポジションセンサーを設置し、点火時期や燃料噴射を最適化。
★耐久性の高い幅広のベルトを採用したベルトドライブ機構は、高効率で静粛性に優れる。

★★★車体関係
★バックボーン部分を大型角型断面パイプとし、ステアリングヘッド部分を鋳造、スイングアーム・ブラケットは鍛造とした、スティール製のダブルクレードルフレームを採用。高剛性化と部品点数削減による軽量化をはかりながら、フレーム外観の美しさも向上。

★ステアリングヘッドに採用した大型テーパーローラーベアリングは、高い走行安定性と車体の剛性向上に貢献。
★ガス封入式ショックアブソーバーをシート下に配置した、外観はリジッド形式にみえるスチール製スイングアームを採用。トラス構造とし、剛性を確保。プリロードと伸側減衰を可変式としたシングル・リヤショックを、上側アーム前端と直結してシート下に搭載し、スムーズで快適な乗り心地を実現。

★高剛性のインナーチューブ径φ49mmのフロントフォークは、ステアリング操作時の路面からのフィードバックを確実にライダーに伝え、上質なステアリング操作フィールを実現。
★対向4ピストンキャリパーと外径300mmのディスクを装備した、強力な制動力を発揮するデュアルディスクブレーキをフロントに採用。
★リヤブレーキには2ピストンキャリパーと外径φ320mmの大径ディスク。
★安定したハンドリングに貢献するラジアルタイヤを装着。
★人間工学に基づいた形状で、快適性の高いフロントシート。シート高を690mmとして優れた足着き性を実現。


★★★スタイリング
★ロング&ローの車体デザインを実現するために、エンジン全高を低く抑えた。VN1500シリーズのエンジンと比較して33mm長いストロークにもかかわらず、VN2000のエンジン全高は2mm増加に留まる。
★高品質のクロームメッキ処理を施した2本出しのスラッシュカット・マフラーは、連結パイプを2箇所に設置て、トルク向上をはかるとともに魅力的なエキゾーストサウンドを実現。
★美しく滑らかな面形状をもったヘッドライトには、3眼式の“ガトリング”プロジェクターランプを組み込む。その下に配置されたハイビームには、通常のリフレクター形状を持つランプを使用。ハイビーム点灯時には4個のランプ全てが点灯する設定。

★被視認性を向上させた、リフレックス・リフレクターを使用した大型テールランプを採用した。レンズ取り付けビスを廃止した構造によって、レンズ形状の美しさをより高め、質感を向上。

★のびやかで官能的なデザインの大型シームレスタンクは、フラッグシップモデルに相応しい高品質な仕上げを施した。快適な長距離クルージングを可能にする、21リットルの大容量を確保。

★スピードメーターの駆動にステッピングモーターを採用。インストゥルメント・コンソールの軽量・薄型化を実現し、タンクまわりの美観を高めた。大型スピードメーター内には、視認性に優れた液晶表示の燃料計や警告灯を装備。
★キーホルダーなどによる、走行中のキーシリンダー周辺部分の傷付きを防止するため、スイッチがONの状態でキー取り外しが可能なイグニッションスイッチを採用。イグニッションスイッチのカラーを“OFF”または“P(テールランプ点灯)”ポジションにすることでエンジンがとまり、再始動するときにはキー挿入でスイッチが操作可能となる。

★★★その他
★オートキャンセル式のターンシグナルを採用。
★マシンに跨った状態でもオイルの点検を可能とした、オイルキャップ一体式のオイルゲージを採用。
★左側面に便利なヘルメットロックを装備。
★ユーザー各自の趣向やライディングスタイルにあわせたカスタマイズを可能にする、オプションのアクセサリーパーツを豊富に取り揃えた。ウインドーシールド(各種サイズあり)、ラック付バックレスト、厚型タンデムシート、タンデムステップボード、サイドバッグ、エンジンガード、補助ライトなど。この他にも追加されていく予定。

★★★車体色
* メタリックダークパープルプリズム
* メタリックマジェスティックレッド(米国/カナダ)
* パールグラシアルブルー(米国/カナダ)

★★★主要諸元
エンジン形式=VN2000-A1
水冷4ストロークOHV4バルブV型2気筒
総排気量2,053cc
ボア×ストローク103.0x123.2mm
圧縮比9.5:1
最高出力/最大トルク=未定
燃料供給方式=電子式燃料噴射 スロットルボディφ46mmx2
点火方式=フルトランジスター
始動方式=セルフスターター
潤滑方式=圧送式 ・ セミドライサンプ
変速機=5段リターン
フレーム形式=ダブルクレードル(高張力鋼管製)
ホイールトラベル=F:150mm/R:100mm
タイヤ=F:150/80R16M/C(71V) R:200/60R16M/C(79V)
キャスター=32度 トレール182mm
ハンドル切れ角=左右各37度
サスペンション F:テレスコピック(インナーチューブ径49mm)
R:スイングアーム(ダイレクト・シングルショック)、伸び側減衰力8段階調整式、スプリングプリロード無段階調整式
ブレーキ F:φ300mmデュアル・ディスク/対向4ポットキャリパー
R:320 mm シングルディスク/22ポットピンスライドキャリパー
全長/全幅/全高/軸間距離/乾燥重量=未定
シート高=690mm
燃料タンク容量=21リットル

<以上>