☆2004年型カワサキZX−10R発表


 カワサキより、2004年モデルのZX-10Rが公式発表された。従来のどのモデルの後継機種でもない、カワサキにとってまったくの新ジャンルのマシンと言えよう。ホンダのファイアーブレードに端を発し、ヤマハのYZF-R1で加速し、スズキのGSX-R1000で炸裂した、そんな過激化するリッタークラスのSS(スーパースポーツ)というジャンルに挑戦するものだ。あるいは、2003年からのレギュレーション変更にともない、スーパーバイク世界選手権に対応するレーサーベースマシンともできよう。
 発表された概略を見る限り、その構造は概して、最新SSのトレンドに沿ったものとできる。とはいえ、カワサキというブランドにとっては、かなり異例とも言えるマシンの作り方なのだ。既存のZX-9Rのような、カワサキ的ストリート機能への固執はないと思われる。
 まず、サーキット走行やレースへの対応をかなり前面に打ち出している。また、車体のパッケージングから開発がスタートしている。最速を目指す場合でも、常にストリートに主眼を置き、そして最強のエンジンをまず作り上げる、という一般的カワサキ流儀とは異なるのだ。
 車体を徹底的にコンパクト化し、そのサイズと重量を600ccクラスなみとする。それは現在のこのジャンルの標準的な考え方だが、そのためにエンジンを新規開発。主要3軸をトライアングル配置とするが、R1などとは逆に、ミッションのメイン軸をケース合わせ面の下方へオフセットしている点が注目される。これにより、エンジンの低重心化や、クラッチ位置の低さによるメインフレームのレイアウトの自由度向上が図られた模様。そのためもあってか、メインフレームがエンジンのヘッド上方を通過するレイアウトとしている点も注目される。とにかく、かなり気合いの入った一発である。
 以下にその概要をカワサキ広報より発表のPDFデータを元に、同広報提供の写真とともに掲載する。PDFデータそのものの一般提供はカワサキの場合許可されていないので、その文字データを元にしつつ、多少の修正を加えた。冒頭のコンセプト部分を除き「ですます調」を変更し簡素化。また、やや読みにくいと思われる部分はtsujiの判断で若干の修整をしている。それでも、文章の流れは基本的に変更せず、文体はあくまでメーカー側から発信されるメッセージとした。詳細な意味が不明な部分は、原文の言いまわしを無修正のまま掲載する。
 なお、このZX-10Rと同時に、Z1000の弟分となるハイパーネイキッドのZ750、それにOHVエンジン搭載のビッグアメリカンであるVN2000も発表されているが、そのデータは追って紹介する予定。まずはカワサキ入魂のハイパーウエポン。そのメカニズムをジックリと考察していただきたい。


*************以下カワサキのリリース参照レポート***********


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マーケティングコード:ZX1000C
モデル名称:Ninja ZX-10R
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【モデルコンセプト】
 このたびカワサキは、リッタークラスにおける究極のスーパースポーツモデルNinja ZX-10Rを開発しました。先進技術の集約によって実現したエンジンパワーと、クラス最高レベルを誇るパワーウェイトレシオ、そしてレース最高峰MotoGPマシンのエッセンスを受け継いだスタイリング。これらの特徴は、カワサキがスーパースポーツモデルに求めてきた理想の現れといっても過言ではありません。
 Ninja ZX-10Rの設計・開発手法は従来のカワサキのモデルとは異なり、まずコンピュータによるシャーシ設計シミュレーションから開始されました。エンジニア達は、優れたハンドリングと走行安定性を実現するには、極限まで軽量化されたコンパクトなシャーシこそが最良の手段であると考え、その結果としてもたらされたのが、MotoGPマシンNinja ZX-RRにも見られるショート・ホイールベースとロング・スイングアームからなる車体構成でした。600ccクラスとほぼ同レベルのコンパクトなオールアルミ・フレームと高剛性のロング・スイングアームの組み合わせによって、Ninja ZX-10Rはサーキット走行やワインディングにおける優れたハンドリング性能を実現しています。
 シミュレーションによって決定された理想的な車体構成の実現には、エンジンをパワフルかつ驚異的なまでに小型化することも不可欠でした。並列4気筒エンジンの仕様決定にあたっては、全ての要素の綿密な洗い出しと検証が繰り返され、数々の先進技術が集約されています。その主なものとしては、一体成型のシリンダー/クランクケース、シリンダー背面に搭載した倍速ジェネレーター、主要3軸の三角配置によって前後長を短縮したトランスミッションなどがあげられます。その他にも新開発の電子制御燃料噴射システム、バックトルクリミッター、クロスミッション、マグネシウム素材のエンジンカバー類など、全ての機構やパーツが「サーキット性能No.1」というマシン開発の狙いを具現するために構成されています。
 さらに、シート/ステップ/ハンドルバーの理想的な配置や特徴的な燃料タンク形状は、コンパクトながらもライダーにけして窮屈さを感じさせることのない、サーキット走行時に最適化したライディングポジションを実現。ライダーとマシンの一体感をより向上させることによって、溢れるようなエンジンパワーと優れたシャーシレスポンスを充分に引き出したライディングを可能としています。


★★★概要
★クラス最高のパワーウェイトレシオ:水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンは、大径43mmのスロットルボディ、デュアル・スロットル・バルブ、微粒化インジェクターを備えた高機能の電子制御燃料噴射システムの採用によって、高出力かつ優れたスロットルレスポンスと、排出ガス中の有害物質の低減をともに実現。コンパクトなエンジンパッケージとオールアルミ・フレーム、新設計の軽量ホイール等による軽量化によって、600ccクラスなみの車両サイズと重量を実現したことと併せ、クラス最高のパワーウェイトレシオをもつ。
★レース使用に特化した走行性能:ショート・ホイールベースとロング・スイングアームからなる車体構成によって実現した俊敏なハンドリング。シート/ステップ/ハンドルバーの理想的な配置や、人間工学に基づいた特徴的な燃料タンク形状による、サーキット走行に最適でコンパクトなライディングポジション。クロスミッション、バックトルクリミッター、ラジアルマウント・ブレーキキャリパー、ぺタル(花弁)形状のブレーキディスク、無段階調整式サスペンションなど、すべてにおいてレーシング走行でのパフォーマンスを追及した設計。
★アグレッシブなスタイリング−流麗でエッジの効いたボディスタイリングは、カワサキの考えるスーパースポーツモデルの理想形を具現化し、その驚異的なパフォーマンスと卓越したパワーウェイトレシオを物語る。


【主な特徴】
クラス最高のパワーウェイトレシオ
★★★エンジン
★水冷DOHC4バルブ並列4気筒(総排気量=998cc、ボア×ストローク=76x55mm)
★デュアル・スロットル・バルブをもつ大径43mmのスロットルボディの採用によって、高い出力と滑らかでスムーズなトルク特性を獲得。

★微粒化インジェクターの採用により、出力および燃費の向上と排出ガス中の有害物質の削減を実現。(従来型インジェクターの噴射飛沫=120ミクロンに対し、微粒化インジェクターの噴射飛沫=70ミクロン)
★吸排気の気流解析に基づいた吸排気ポートの最適化により、高い充填効率と高出力を実現。(バルブ径:IN/EX=31/25.5mm、バルブステム径=4.5mm)
★イリヂウムプラグと高電圧コイルを採用し燃焼効率を向上。
★軟窒化表面処理を施したカムシャフトとタペットを採用し、耐久性と高回転時の信頼性を向上。
★リテーナーをアルミ焼結鍛造として、動弁系重量を軽減し高回転時の信頼性を向上。
★軽量で強度に優れた鍛造ピストンの採用により、慣性重量の軽減と耐熱性の向上をはかった。また、ピストン頂面をフラットにしたことで、コンパクトな燃焼室と高い燃焼効率を実現。(圧縮比=12.5:1)

★耐久性と放熱性に優れたライナーレスシリンダーは、気筒間の連通路形状を最適化してポンピングロスを軽減。

★ラムエア吸気(フロントカウル・センターダクト→フレームチューブ→エアクリーナー)の流入経路および形状を最適化して充填効率を向上。また、フレームとエアクリーナー間のダクト部分は雨水の浸入を防ぐ形状。
★エアクリーナーボックス内の気流解析によって、高い吸気効率を確保しながら小型化を実現。その結果、燃料タンク底板のフラット化が可能となったことと併せて、コンパクトなライディングポジションの実現に貢献。
★チタニウム製エキゾースト・パイプの集合部にバタフライ式バルブを設置したことで、全回転域で滑らかでリニアな出力特性を実現。
★部品点数の削減による軽量化を図るとともに剛性も向上させた、傾斜鋳造による一体成型のシリンダー&クランクケース。シリンダー背面に搭載した倍速ジェネレーター。主要3軸の三角配置によって、前後長を短縮したトランスミッション。これらにより、最適なクランクシャフト位置を実現いている。また、マスの集中と低重心化をはかりながら、シリンダーヘッドの小型化ともあわせて軽量コンパクトなエンジンを実現した。さらに、こうしたレイアウトによりツインビーム・フレームの下方にエンジン配置が可能となった。それが、600ccクラスなみのコンパクトでスリムな車体構成と、レスポンスに優れたハンドリング特性の実現にも貢献している。

★楕円断面の軽量シングル・スプリングをバルブ・スプリングに採用し、シリンダーヘッドの小型化を実現。
★SCM420K鍛造素材を削出し加工したカムシャフトは、高い強度と軽量化を実現。

★軽量化のためにエンジンカバー類をマグネシウム製とした。
★内部フィンをもつ新設計のアルミ製水冷オイルクーラーは、適切な油温制御を実現するとともに軽量化にも貢献。
★オールチタニウム製のエキゾースト・パイプと、内部部品をチタニウム、外筒を1mm厚のアルミ合金(押出し・引抜材)とした楕円断面のマフラーを採用し、軽量化とマスの集中化をはかった。


★★★シャシー
★オールアルミ・ツインビーム・フレームはプレス成形材とダイキャスト材のハイブリッド構造を採用。ショート・ホイールベース、ロング・スイングアームの構成をもつ非常に軽量でコンパクトな車体を実現した。

★フレームに必要とされる強度を確保しながら最大限の軽量化を施すため、2.5mm厚の薄肉キャスティング材を使用。
★フレームの左右を連結するクロスパイプを鋳造部品としたことで、部品点数と溶接箇所を削減して軽量化。
★フレームの取りまわしをエンジン上方としたことによって、600ccクラスと同等の車体幅を実現。
★フロントフォークの内部構造部品にアルミ材を多用して軽量化。
★軽量化のためフロントフォーク・トップブリッジには肉抜き加工を施す。
★アルミ製のハンドルバーは、軽量化のためにドリル加工した鍛造材を採用。
★車体に関する軽量化部品として上記の他には、アルミ製ステアリング・ステム・ナット、車体各部の軽量ポップ・ナット、リヤサスペンション・スイングアームのアルミ製ベアリングスリーブ、ホイールのサイドカラー等がある。

★★★ホイール
★新開発のH形断面スポークを採用した軽量ホイールを前後ともに装備。6本スポーク構造、薄肉リムの採用と併せて、大幅な軽量化を実現。
★ホイール重量については、Ninja ZX-9Rのものと比較して大幅な軽量化を達成。


★★★★★★レース使用に特化した走行性能
★★★エンジン
★サーキット走行やワインディングロードで威力を発揮する、クロスレシオの6速トランスミッションを採用。
★サーキット走行時の急激なエンジンブレーキによる後輪のホッピングを減少させるため、クラッチには可変式のバックトルクリミッターを装備。

★スロッシング(オイル液面変動)解析に基づいて、オイルパンに急減速時のオイル流動を最適化する仕切り板を設置。また、サブオイルパンの設置により、オイル液位を低下させてメカニカルロスを低減するとともに、適切な油温制御を実現。

★★★フレーム
★ステアリング・ステムとスイングアーム・ピポット間を最短とする、MotoGPマシンNinja ZX-RRと同様の設計コンセプトによって、コンパクトでレスポンスに優れた車体構成を実現。
★高剛性の左右異形のロング・スイングアームは、エンジンからの駆動力によるリヤサスペンションへの影響を最小限に抑えることで、サスペンションの動きを適正化するとともに、エンジンパワーを確実に路面に伝達。ねじりに対する剛性を高め、横方向への曲がり剛性をより柔軟に設定した“しなり剛性”をもたせ、優れたハンドリング特性を実現。さらに重量については、Ninja ZX-6Rのものとほぼ同等と、軽量化も実現。


★★★エルゴノミクス(人間工学)に基づいた設計
★ライディングポジションは、まずコンピュータ・シミュレーションによる設計、そしてテストライダー評価による徹底的な検証を繰り返して決定。
★フレームの取りまわしをエンジン上方として全幅をスリム化できた結果、燃料タンク設計の自由度が増し、ライダーのニーグリップに最適なタンク形状を実現。

★エアクリーナーとフレームの上面を同一平面にして、燃料タンク底面をフラット化した結果、外形サイズを大型化せずにタンク容量の大幅な増量を実現。
★燃料タンク上面に窪みをもたせ、ライダーが上半身をフェアリングの内側に低く伏せやすい形状とすることで、高速走行時の快適性を向上。
★シート/ステップ/ハンドルバーの理想的な配置によって、スポーツ走行に無理のない最適なライディングポジションを実現。

★★★ブレーキ
★スーパースポーツモデル初となるぺタル(花弁)形状のブレーキディスクを採用。冷却効果の向上によって熱による歪みの発生を防止すると同時に、軽量化も達成。
★卓越した操作フィーリングと性能を発揮する、ラジアルマウントの対向4ポット・フロントブレーキ・キャリパーを装備。(ディスク外径=300mm)
★リヤブレーキには外径220mmのぺタル(花弁)形状のブレーキディスクとピンスライド・キャリパーを採用し、バネ下重量を軽減。


★★★サスペンション
★サーキット走行を重視したセッティングを施した、インナーチューブ径φ43mmの高剛性倒立式フロントフォークを採用。
★高い安定性をもつトップアウト型のスプリングを前後サスペンションに採用。サスペンションの伸長を制限することによって、急加速から急減速に移ったときにライダーが感じるノースダイブ感覚を抑制すると同時に、ハードな減速から加速状態にもどる際にも優れた安定性を発揮。
★リヤサスペンションには、リザーバーをもつ無段階調整式ガス封入ショックを搭載。

★アルミ製のリヤサスペンション・リンケージは軽量化に貢献するとともに、レスポンスに優れたリヤサスペンションの作動特性を実現。
★シム調整によるリヤの車高調整が可能。

★★★★★★アグレッシブなスタイリング
★★★ボディ・ワーク&スタイリング
★センターラムエア・ダクトを組み込んだコンパクトなフロントカウルは、Ninja ZX-6Rよりも小さな前面投影面積を実現。

★フロントカウル最下部に配置した、コンパクトなマルチリフレクター・ヘッドランプは、最高レベルの照射性能を発揮。
★空力的に優れた形状のバックミラーは高い視認性を発揮。
★継ぎ目のないデザインの燃料タンクは、高品質な外観を実現。
★3分割のフロントフェンダーは、車体前端部に軽快な印象を与えると同時に、空力的に優れた形状とした。
★欧州仕様のモデルは、空気抵抗の低減をはかるため、サイドカウルに埋め込んだスタイリッシュな形状のフロント・ウィンカーを装備。リヤには非常にコンパクトな円錐形状デザインのウィンカーを採用。(北米仕様は前後ウィンカーともに従来形状)

★スイングアーム曲面を延長した形状のリヤ・インナーフェンダーには、リヤタイヤ周辺の熱気の整流効果を備える。
★取り付け強度向上のためサブフレームに直接組み付けられた、コンパクトなリヤフラップはスリムな外観の実現に貢献。
★コンパクトなフラッシュサーフェース・デザインのLEDテールランプは、照射面がシートカウル上面に回りこんだ形状を採用し、運転席の高い4輪車ドライバーに対する被視認性を向上。

★5分割のテールカバーはスリムな形状と優れた整備性を実現。(上部の2つを外すことで上面は全てオープンになる)
★艶消しブラック塗装のフレームは、アグレッシブでレーシーなイメージを強調。
★製造工程にロボット溶接を採用し、高品質な仕上がりを実現。
★よりアグレッシブな外観のシングルシートカバー(オプション)を、タンデムシートと交換して装着可能。


【その他の特徴】
★★★エンジン
★クラッチによって駆動されるジェネレーターは、エンジン回転数の倍速で回転することで、アイドリング時も高い発電量が可能。

★アイドリング・スピード・コントロール機構を採用し、優れた始動性を実現。
★エンジン内部のオイル供給を、クランクケースの合わせ面に掘削した溝を介しておこなう設計により、配管を必要とする一般的なオイル供給システムよりもシンプルなエンジン構造を実現。
★KLEEN(Kawasaki Low Exhaust Emission)を採用し、排出ガス中の有害物質を低減。また、ハニカム構造の触媒をマフラーに内蔵し、欧州の排出ガス規制であるユーロII にも対応。

★★★その他
★セキュリティ対策として、イグニッションスイッチ組み込みのイモビライザーを採用。

★軽量なインストゥルメント・パネルには、バーグラフタイプの液晶タコメーター、デジタル表示の液晶スピードメーター、設定可変式のシフトアップ・インジケーター・ランプ、ストップウォッチ式ラップタイマー(表示切り替えによってデジタル水温計、時計、距離計なども表示)、さらに様々なインジケーター・ランプを備える。シフトアップ・インジケーター・ランプは明るさの3段階(明/暗/消燈)切り替えが可能。フューエルインジェクション・ランプはイモビライザー・ランプ機能も併せもつ。

★新開発の高機能リレーボックス、小型ヒューズボックス、簡素化した配線の採用によって、メンテナンス性を向上。また、電装部品をシート下に集約して、マスの集中化とハーネス削減による軽量化をはかった。
★鉛製に代えてスチール製のホイールバランサーの採用により、環境対策を向上。
★燃料タンクのエンブレムは高品質感のある立体エンブレムを採用。(ライム・グリーン色のモデルを除く)

★★★車体色
* ライム・グリーン / メタリック・フラット・ストイック・ブラック
* キャンディ・サンダー・ブルー / メタリック・フラット・ストイック・ブラック
* メタリック・スパーク・ブラック / メタリック・フラット・ストイック・ブラック

<以上>