☆上田 昇選手が引退

 ホンダより、GPライダー上田 昇選手の引退がリリースされた。
 各方面から、それっぽい噂は流れていたが、やっぱりという感じ、寂しさは拭いきれない。スポーツの世界では、必ずやって来る、あるいは自ら決断しなければならない、そういうことなのかもしれない。そして、直面する問題として怪我による肉体的な不都合があるのは事実だろう。

 しかし、このクラスの数名の選手たちが抱えている問題には、いわゆる選手生命などとは別の何かも、門外漢としてだが筆者は感じているところがある。世界選手権ロードレースの125CCクラスにおける年齢制限あるいは参加期間制限のようなものが、いったいいつから、一体どこから忍び寄り始めたのだっただろうか。1949年から続く世界選手権ロードレースの栄光ある、そして重い歴史。その中で、今はなき50ccクラスを筆頭に、軽量級のスペシャリストたちが活躍してきた。大排気量マシンのパワーを振り絞り豪快に車体をねじ伏せるライディングも素晴らしいが、ほんのわずかなパワーを掌から絞り出すように発揮させ、ほんの数十kgの車体を極限的な繊細さで操る、そんな魔術師たちの疾走に、僕は何度も感動した。大昔のことは勉強不足で知らないが、初めてヨーロッパでGPを見たとき、スペインの英雄アンヘル・ニエトが走る様に、僕は鳥肌が立った。
 その歴史の質量を無視して、いつの間にか銭金至上主義の連中がGPを牛耳り始めた。50ccはなくなり、80ccという訳の分からぬクラスが誕生したかと思えばすぐに消え、今度は125ccなどほんの登竜門という位置付けにようとしている。それが世界選手権なのか!
 昔はよかった、などと言うつもりはない。時の流れはあってよい。しかし、先人達が積み上げたものに、従う必要はなくても、そこに敬意を払う意識がなくなったとき、ヒトはただの獣に近づいていくかもしれないと思う。



ご苦労様、上田 昇選手。あなたの表彰台での笑顔は忘れないよ。








****************以下ホンダのリリース**************

2002年11月4日

12年間世界トップライダーとして活躍の上田 昇が、現役引退を発表

 11月3日(日)、2002年ロードレース世界選手権シリーズ(MotoGP世界選手権)の125ccクラスにHonda RS125Rを駆り参戦していた上田 昇選手(#9 Semprucci Angaia Racing)が今シーズン最終戦スペイン・バレンシグランプリの決勝レース後に現役から引退することを発表した。

 上田選手は1991年にロードレース世界選手権の開幕戦日本GP(鈴鹿サーキット)にスポット参戦、いきなり優勝、そのままフル参戦を果たし、その後12年間、Hondaのマシンを駆り、世界のトップライダーとして活躍。日本人ライダーが世界の舞台で戦えることを示した草分け的存在であった。12年間、数々の怪我などを抱えながらも、ランキング2位を2回、5位を4回獲得し、通算13勝(表彰台38回)の輝かしい記録を残した。

<上田 昇選手のコメント>
モーターサイクルレースは僕の人生全てのようなもので、引退することはとても残念です。決断するのは簡単ではありませんでした。今、まずは身体を治すことを第一に考えて来年は日本とイタリアでリハビリに専念します。僕にすばらしい達成感を与えてくれたこのレースの世界に1日でも早く戻って貢献したいです。僕を信じて応援してくれたファンの方々や全ての皆さんに感謝します。また会いましょう

上田 昇(Ueda Noboru)
1967年7月23日 愛知県生まれ 35歳
身長  :170cm
体重  :56kg
血液型   :A型

<プロフィール>
1991年に国際A級昇格後、ロードレース世界選手権 開幕戦日本GP(鈴鹿サーキット)にスポット参戦し、いきなりポール・トゥ・ウィンのセンセーショナルなデビューを飾る。そのままフル参戦を果たし、ランキング5位を獲得。世界の舞台で通用することを証明し、現在活躍する日本人勢の草分け的存在となった。その後、数々の怪我を乗り越え、12年間でランキング2位2回、5位4回とワールドチャンピオンにあと一歩届かなかったものの、通算13勝、表彰台38回、ポールポジション19回という輝かしい成績を残した。2002年はSemprucci Angaia RacingよりHonda RS125Rを駆り参戦し、ランキング23位となった。


<主な戦績>
1989年  ロードレースデビュー  鈴鹿選手権  ノービスGP125クラス参戦 ランキング3位
1990年  国際A級昇格
  MFJ全日本ロードレース選手権  125ccクラス ランキング2位
1991年  FIM ロードレース世界選手権にフル参戦  125ccクラス ランキング5位
1992年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング9位
1993年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング5位
1994年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング2位
1995年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング12位
1996年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング7位
1997年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング2位
1998年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラ ス ランキング13位
1999年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング5位
2000年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング5位
2001年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング9位
2002年  FIM ロードレース世界選手権  125ccクラス  ランキング23位

<以上>