☆7月10〜15日 思いつき北海道の旅



 7月15日深夜、拙僧は思いつきイイカゲン北海道の旅より帰還した。神奈川の自宅から道東の知床半島を全自走にて6日間で往復するのは、慌ただしいといえば確かに忙しくはあるが、己の五感で大地と空気を捉えつつ風のごとくニッポンを走り抜けるのは、なかなかの快感であった。
 その旅の様子はビッグマシン誌2006年9月号(8月12日発売)にて語っているが、そのときの写真集のようなものを作ってみた。レポートというほどのものではない、紙面記事の補足。同誌と合わせてご覧いただければいいかな、という程度のお気楽なものなので、そのおつもりで閲覧いただきたい。
 ことの発端は7月6日木曜日の午後、〆切地獄の中で原稿執筆のために旧友=悪友Kと業務連絡をしていたメールだった。
 毎年ヤツは北海道へとバイクで旅立つ。今年も行くのだという話が出た。とても許せぬ気分になって、拙僧は勢いで「俺も行くぜ」とメールに記してしまった。ヤツは本当に拙僧が行くとは思わない様子で嘲笑気味に「じゃあ羅臼で会いましょう」との一行を付したメールを返してきた。なおさら本気になった拙僧は、その4日後に旅立ったのであった。
 これが顛末である。レポートがビッグマシン誌に掲載されたのは成り行き。旅自体は、己の欲望と快楽のみを求めるものであった。
 このwebサイトをご覧いただく方々に集っていただくためのイベントも最近はろくに開催しないで、自分だけバイク旅を楽しむというのは後ろめたい気分でもあった。しかしながら、基本はまずtsuji自身がバイクを楽しむこと、そのうえでバイクの愉しさを皆様方にお伝えしていくべきであろう。と、決めた。身勝手をお許しいただきたい。
 なお、以下の本文中には、旅の途中で当webサイトSALIDAの掲示板に、ケータイにてカキコした文面を青文字で記載している。そのコメントに対する諸氏のレスも、掲示板の検索機能で簡単に閲覧できる。


●7月10日(月曜日)=神奈川→函館→八雲


 早朝に神奈川の自宅を出発。青森I.C.へは正午過ぎに到着した。
 雨の中もかなり走ってきたが、この後の汚れ状況からすれば、まだまだ、とっても綺麗な状態のBMW R1200GS_Adventure(箱付き)。当方の勝手な思いつき旅だったが、運良く速攻でお借りできた。思いついた夜の翌々日には手元にあった。手配に走りまわってくれた某氏とBMWジャパンに、多謝。お礼にオドメーターを3400kmほど加算して返却となりますヨロシク。エンジンの調子は出発時より格段に向上した。やはりBMWのナラシって10000kmは必要なのか?
 今回の旅に費やす6日間は事前情報だと、天候不順。どこもかしこも雨と言われてはいた。が、そこは拙僧のことである。北上する東北道の宮城県あたりまでは確かに雨だったが、緑が洗われて気持ちがいいわい、という程度の雨にすぎなかった。岩手県に入るあたりからは雨も上がってゆき、リンゴ畑の景観を楽しみつつたどり着いた青森I.C.では、上の写真のごとく晴天。暇そうなI.C.のオヤジと歓談しつつ10800円もの通行料金を払う。ここで津軽弁のシャワーを浴び、遠くまでやってきたなぁ、と旅情に浸る。地元民との会話は旅に欠かせない。
 その後に乗り込んだ青函フェリー。予定は未定で計画性などまったくなかった拙僧であり、フェリーの時刻表など見てもいなかったが、運良く1時間待ちで乗船できた。銀行ATMを探して現金ゲットなどしていたから、待ち時間は実質ゼロである。

■06/7/10(月) 14:18 ただいま青森
 すでに乗船済みだ。まもなく出航である。
 BMW、とくにGS系の場合はこのようにして車両甲板に固定する。前後サスペンションのストロークが長いためサイドスタンドも長く、車重は重いから、一般的なサイドスタンド駐車での固定方法だと、スタンドが曲がってしまうのだ。
 そこで「メインスタンドで固定してください」と係員氏に頼むのだが、まずたいていはイヤな顔をされる。「ええーっ、メイン固定かよっ!」と表情だけの場合も、言葉に出す場合も。すかさず笑顔で「申し訳ありませんねぇヘンなバイクなもんで。お手数かけますがヨロシクお願いします」と言葉を重ねる。と、ショーガネーやつだなといった顔をしながらも、やってくれる。拙僧は心の中で呟くのだ。「やれば、できるじゃんよ、手間はかかるけどさ」。
 通常はそういった調子なのだが、この日の係員氏は機嫌がよかった。客が少なく暇だったからか。甲板はガラ空き、バイクはこれ1台だけ。ひょいひょいと輪留めをしつつ「今日は波も少ないから問題ないよ」とニコニコ顔での対応であった。この旅はうまくゆきそうな気配。
 しかし……目的地は羅臼。距離を稼ぎたいときに、乗船時間4Hr.は大きいぜ。かといって海を渡らねば北海道には行けぬしなぁ。

■06/7/10(月) 20:53 ただいま八雲の居酒屋
 長万部の少し手前である。朝っぱらに原稿を一発書いてからここまで走ってきたら、ちょっと疲れた。ゆえに、本日はヒヨってビジネスホテルである。
 北海道に上陸してからも距離を稼ぐべ少々走って、JR八雲駅前のビジネスホテルに転がり込んだ。飯は当然、外に出て地元の衆が集う怪しいところを探す。これも旅の楽しみだ。
 本日の走行距離836km+フェリー4時間。


●7月11日(火曜日)=八雲→弟子屈


 本日も移動日である。元々があちこち観光地に寄って名所旧跡を巡るようなことなどが好きなタイプではないのに加え、今回の場合は目的地が知床半島で距離があり、しかも土曜日までには帰還しないと次の雑誌の原稿が間に合わない気配。知床周辺での時間を大切にするため、その途中はとっとと移動と決めていた。決めてはいたが、さてどこを通っていくか。移動とはいえ、業務での移動ではない。時空を駆け抜ける悦楽を堪能するのが旅である。
 今回の北海道は全般に天候が不安定な様子。ケータイで予報を眺めつつ、勘と嗅覚で山岳ルートを選んだのだが、これは正解だった。青空の下を走る時間がかなり多かった。もっとも、そういうときは走りを楽しんでいるから写真はほとんどない。
 阿寒湖の手前で、路肩に「白藤の滝」と記した小さな看板を発見。拙僧は滝が好きである。移動日ではあるが、寄り道の虫が目を覚ます。寄り道をしなければ旅ではない。ダートの脇道をしばし進んだところに滝があった。たいした滝ではないが個性があり、またマイナーな場所なので人間は拙僧だけ。この滝も、巨大なフキの葉が生い茂るダート道の情景も、完璧に独り占めである。風と滝の流れの音しかしない空間に、しばし身を置く。

 超メジャー観光地の阿寒湖などはとっとと通り過ぎ、道東方面の交通の要所である弟子屈(テシカガと読む)に着いた。さて……どうするか。国道から裏道に一歩入り地元っぽい町並みをしばし俳諧してから、コンビニの駐車場で休憩と思案の時間を作る。北海道でコンビニといえば「セイコーマート」である。まあ今回、久しぶりに北海道へ行ったのだが、もっと全国区メジャーなコンビニがすごく増えていて、品揃えだの銀行ATM配置など便利さ加減じゃセイコーマートは負けてるか、と感じるときもあった。それでも北海道に来たら、やっぱりコンビニはセイコーマート、ガソリンスタンドは「ホクレン」に、なるべく寄ってみたいと思う。
 ここでコンビニ店主から天候情報を得たり悪友Kにケータイ連絡入れたりして、この日は弟子屈泊まりと決めた。
 本日の走行距離544km。
■06/7/11(火) 20:07 ここは弟子屈
 頑張れば羅臼に届く距離だったが、すでに18時をすぎていた。夜道でエゾ鹿に遭遇するのにヒビって、本日は弟子屈でおしまい。明朝の予報がおもわしくなく、雨中のテント撤収なんてゴメンと、またもやヒヨって“とほ宿”にお泊まりである。


●7月12日(水曜日)弟子屈→羅臼


 予報どおり朝からドップリ雨である。超ゆっくり宿を出て中標津方面へ向かう。途中、虹別にて手頃な東屋のある公園を発見し、しばしの無駄時間。酪農公園……とかいったかな? 広大できれいな公園だった。雨に濡れるバイクの写真など撮って時間つぶしである。


 なぜに時間つぶしか? 中標津にある「すしロード」での昼飯に時間を合わせるためである。羅臼の国設野営場にいる悪友Kとここで落ち合うことにしていたのだ。満腹になったころには雨も上がり、さてさて本日の主題、林道へと二人は向かったのであった。ヤツのアバウトな案内でテキトーにあちこちの林道へ突っ込む。崩落していて引き返すこともあったが、いいってことよ遊べれば。ついでにヤツに写真なども撮らすが、写真原稿料は出ませんぜゴメン。しかしこのアドベンチャー、デカイ図体して重い箱まで付けてるのに、けっこう走るぜ。そのインプレは……ビッグマシン誌のコラムにある。


 標津あたりの林道を徘徊しつつ、たどり着いたのは川北温泉という野湯。林道を進んでゆくと、山深い中に忽然と現れる。昔は一軒宿の旅館があったのだが、宿はいつにか崩落し湯船だけが残り、それを地元の愛好家たちが守り続けているのだという。源泉から引かれた湯はかなり温度が高く、澤の水で温度調節するためのホースが備わっていた。とにかくここの湯は心地よく、拙僧はご機嫌である。


 湯から上がりバイクを見れば、かなり汚れている。やっと旅バイクらしい表情になったな。というわけで汚れ具合を写真に納めようとするが、汚れている感じを表現するのはなかなか難しい。アングルや露出をいろいろと工夫する。湯上がりの火照った体であり、衣服など着る気分ではない。一応パンツだけは履いていたが、裸のオヤジがデジカメ片手に奇妙な姿勢でウロウロする様子は、もしかするとちょっと異様だったかも知れぬ。


 野湯を楽しんだ後も林道俳諧は続く。途中で、深い谷の上にかかる橋から眺める絶景にしばし見とれ、それではと記念撮影。悪友Kの渾身ポーズ。んじゃ拙僧のも。こうして見るとアドベンチャーは、ほんとデカイぜ。などと遊びながら、ほとんど舗装路を通らず知床半島に突入し、羅臼の宿に入ったのであった。野営場にテントを張りっぱなしの悪友Kも、本日はこの宿で酔いつぶれるまで宴会である。
 本日の走行距離149km。
■06/7/12(水) 19:08 ここは羅臼
 朝10時すぎ、弟子屈の宿から羅臼にいる悪友Kにコールをかける。中標津まで出てこいという呼び出しである。名高い【すしロード】で一緒に昼飯をというわけだ。旨い寿司を食い終え外に出てみれば、雨はほとんど上がっていた。今回の旅の本番の二日間を向かえ、やっと拙僧の尊力が効いてきたか?
 以後、彼の案内で標津周辺の怪しい林道などいろんなダートを走りまわり、最高の野湯につかり、遊びまくった。だいぶ暗くなったころ、たどり着いたのは羅臼にある相棒推奨の“とほ宿”だ。そこの名物夕食が今から始まる。羨ましいかっ!


●7月13日(木曜日)=羅臼→上富良野



 本日からまた一人旅である。「羅臼で会いましょう」という今回の旅の目的の一つは終了した。以後は言ってみれば帰路であるがしかし、まだまだ。俗世をかなぐり捨てた拙僧の貴重時間をもっと濃くしよう。
 朝から良い天気である。郵便局は、こんな地の果てでも立派で全国共通のCIが輝く。民営化って、さてどーなんでしょ? なんてことはどーでもいい。羅臼の町から知床峠へと少し登れば、7月だというのに国道脇には残雪がタップリとあり、やはり知床だなぁ、と拙僧は気分最高状態になって行く。


 麓と峠では、まったく気象が異なる知床。その知床峠では、拙僧が大のお気に入りである羅臼岳(これを拝みたくて知床まで来たといっても過言ではない)に関しては、その頂上付近がガスっていたのだけれどでも、頂上だけである。上の中央写真にあるように(見えにくいだろうが)国後島も拝むことができた。右写真、峠にたたずみ写真を撮っている女子は偶然に映り込んだのだが、なかなかいい雰囲気であると拙僧お気に入りのワンカット!


 知床峠から宇土路へと下る道でも、絶景の連続である。あちこちで見とれる無駄時間を楽しむ。そしてワインディングも素晴らしい。何度か往復してフルバンクの快感も味わったり、したとかしなかったとか。


 宇土路から斜里に移動し、平地の世界に変わったところで、延々と続く一本道を楽しむ。舗装路もダートも、こんなものはいくらでも存在する北海道だが、こういう写真を見せないと一般人は北海道だと思ってくれない。という義務感から撮影したのだが、でもそういう道を走るのはやっぱり心地よい。国道などメジャーな道でもストレートはいくらでもあるのだが、やはりこうした農道の類が一番である。
 などと時間を費やし昼近く。そろそろ帰路の距離を稼がねば。と移動している最中に牧場で干し草が転がっている風景に出会う。これも北海道ではどこにでもある風景だが、関東人としては妙に新鮮で、アングルを決めるのに30分は費やした<<<それほどの映像か? とにかく、またもや愉快な無駄時間。
 以後も行き当たりバッタリで進み、上富良野にて野営。本日の走行距離399km。

■06/7/13(木) 20:51 本日は上富良野
 悪友Kとの愉快な半日プラス一夜は終った。
 午前中、天気がよくなった知床で、ひとり写真を撮っていたら距離が伸びず、稼がなければとついつい走り続け、日没直後に畑の隙間で野営である。広大な農営大地の丘に沈んでいく夕日が美しかった。写真も撮らず観ていた。
 こんな見渡す限り畑のど真ん中で、ケータイで投稿できるとは、しばらくご無沙汰しているうちに北海道も変わったものだ。いいのか、わるいのか。場所探しとテント設営のドタバタで疲れてしまって、まずは天と地と我輩に清酒を注ぎ、この文字を打つ。


●7月14日(金曜日)=上富良野→寿都


 畑の脇にあった空き地で野営の朝である。霧が出ていたが、それもまた風流。この後は朝露に濡れたテントの撤収。ちょっと重くなった。撤収時は、この一晩に何事もなかったがごとく、来たときと同じ状態に周囲の状況を戻す。ゴミの置き去りなど論外。地中にウ○コは置いてきたが。


 帰路の距離を稼ぐべく函館を目指す。のも正論ではあるが、それだけじゃぁ面白くないと、またもや寄り道の虫が頭をもたげる。そうだ、積丹半島へ!
 積丹へ向かい、ひたすら走っていた道中で、発見したのが上の写真の大衆食堂だった。ここで食った、ほっけ定食670円は今回の旅で最も美味な食事であった。ついでに水場をお借りし、汗臭い状態を超越したウエアを洗濯。しばし駐車場に広げて乾かすの図が右写真だ。こうしてカメラを出すといつも、ガンガンに照っていった太陽が隠れてしまうから不思議である。んで、乾ききらない分はバイクの後席部(リヤシートは家に置いてきたが)のストレッチコードに引っかけて走りながら乾かす<<<バイク旅の基本である。


 訪れた積丹半島は、やっぱり素晴らしかった。奇岩が立ち並ぶ海岸線は、走っていて本当に気分がよい。以前の古平のトンネル崩落事故以来、道路やトンネルの改修が進んでいて、一面では風情が減衰した面もあるが、いたしかたあるまい。それに減衰したといっても、積丹は積丹である。その大自然のパワーは、人間による少々の地形変更などで根底にある力を失ったりするはずもない。痛快な走行時間が続いてゆく。
 そして訪れた神威岬。この雄大さは、ちょっとほかにはないと思う。初めて来たときに心底感動したのだが、何度来ても感動する。同じところに行って同じ風景を見ても同じじゃん、という人もおられようが、いいものはいい。それに自然は刻一刻と変化するものであるから、見るたびに違っていて何度来ても新鮮である。この日は風が非常に強く、画像がブレないようにカメラを固定するのが大変だったのだが、ビュービュー吹きまくる強風の中に立っていると、自然のでっかさを呼吸している気分で心地よい。いつかこの地の厳冬期風景を拝みに来てみないものだなぁ、と今回も考えていた。できればバイクで。それが神聖なこの地への礼儀というものだと考えるのだが、そんな体力があるのはあと何年だろうか。そもそも真冬って道は閉鎖されてるのか? 調べてみなくてはいかんな。


 神威岬探訪の後も、積丹半島を反時計回りに巡って行った。ちょっと距離を稼がねば。という状況であったが、ほぼ半島を終えようかというとき、川を渡った。傾き始めた陽が照り返す、悠々と流れる川面。関東で見る川とは、なぜこうもスケール感が違うのだろう、北海道の川はどこでも。そう思いつつ行き過ぎたのだが、もったいない。Uターンしてしばし、川を眺めていた。ああ至福の無駄時間。


 この日も最初から野宿と決めていたので、食料と水と酒は確保済み。気楽に海岸線を南下し、寿都あたりの海岸に野営場所を定めた。状況から、夜半に風が強まる可能性もあると見て、海側に小高い砂丘がある場所を選ぶ。このあたりは嗅覚である。そして天幕を張る前に、水平線へ沈み行く夕日を拝む。またもや至福の無駄時間。最高だぁねっ!
 そして、一人酒盛りタイム。寂しいだろ、と思う人もおられようが、広大な空間を独り占めにしてのスペシャルタイムである。この愉快さは、一度やったらやめられない。夜空に何やら怪しい陰?
 本日の走行距離361km。


■06/7/14(金) 20:13 今日は寿都の海岸
 積丹半島の根元のLAWSONで買った、スモークチキンがやたらと旨いっ。
 今日はメジャーな道を避け、以前に通った道を避け、という方針だった。当然ながら今回の往路はなるべく重複しない。そうして走って、気付くと札幌の近く。方針変更だ。拙僧が大好きな積丹半島へ、神威岬へ。結果、またもや野営である。しかし拙僧の場合、これが一番熟睡できるか? 日本海に沈む夕日を撮影の後、天幕を設営し、空を眺めながら酒盛である。極楽。羨ましいかっ!


●7月15日(土曜日)=寿都→神奈川


 寿都の朝。夜空に浮かんでいた怪しい陰=風力発電塔が見えている。朝露に濡れたバイクを眺めながら、熱いポタージュスープを飲む。寝起きは何より暖かいものを食すことである。ひとっ走りしてコンビニへ行ってもそれは叶うことだが、やはりテント撤収の前に行うべき儀式であると拙僧は固執する。コンパクトなストーブと磁器製のマグカップ、それに夜はランタン。小さなこだわりである。こだわりが何もないなら、そもそも、バイクで旅する必要などない。


 本日は完璧に帰路である。が、寄り道の虫は休まない。寿都より少し南下した島牧から山に入って行き、「賀老の滝」を目指す。じつに豪快な滝であるが、意外とマイナーである。その滝に至る道は、林道を舗装したようなもので幅狭くセンターラインもないのだけれど、タイトコーナーの連続をくぐり抜けて賀老高原に出ると、写真のように痛快な数kmのストレートが何本か登場する。滝の入り口には、立派な野営施設もある。とにかくこの一帯は拙僧のお気に入りなのだ。


 お気に入りであり、滝好きであるが今回の場合、目指したのは滝そのものではない。滝は確かに素晴らしいが、その見学には徒歩で谷を下らねばならず多くの時間を費やす。今回の旅ではその時間はない。前写真列にある滝の画像は、じつは以前に訪れたときのものである。
 目指したのは、滝の脇を通ってその先にある林道だ。とても山深く趣のある林道であり、以前に偶然ながら迷い込み、大いに楽しんだところであった。しかしながら残念にも今回、その林道は崩落しており、引き返すことになった。


 目的の林道は走破できなかったが、たいした問題ではない。その地で遊ぶことはできたのだから。そして、狩場山とおぼしき雄大な景色が素晴らしかった。前回来たときには、こんな景色は見られなかった。林道走破ができなかった代わりの、北海道から拙僧への土産であろう。以後は島牧の海岸線に引き返し、一路函館を目指したのであった。


■06/7/15(土) 15:46 まもなく青森
 フェリーの中である。16時到着予定。ここの4時間が大きい。
 で、これから750km耐久がひかえている。日付が変わる前に帰着は難しいか?
 函館に着いてみれば、運がいいのか悪いのか、出航間際。ドタバタと乗船手続きを済ませて青函フェリーに乗り込む。青森港が近づくと、旅も終わった、という気持ちになる。
 いや、終わってはいない。これから東北道を南下し自宅に帰るのである。旅というものは、どこかへ行くことではなく、確実に帰り着くこと。概ね雨の東北道を一気に走り抜ける。こういう集中力の維持能力はレース熱中時代に養われたのかもしれぬ、などと考えながら走っていった。じつは、けっこう楽しんでいた。
 本日の走行距離989km+フェリー4時間。

■06/7/16(日) 18:36 席に戻っております。
 トップページにあるように、ただいま現実社会に復帰しました。
 机の上には郵便物の山。パソコンにはこれでもかという量のメールと、そこにくっついている業務用資料など添付物……。どこから手を付けるか。机の前で考えていると死にそうな気分になってまたどこかへ旅立ちそう。なので、バイクを洗ってテントを干しました。
 さて……。


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■tsuji@SALIDA てなわけで皆の衆、いつかどこかで。