ビッグバイクの探求
グランプリ出版  ISBN: 4876872058

めてバイクにまたがり走らせたときの、あのドキドキする感動。
それは、交通手段としての有効性などといった理屈を振りまわしたところで、表現できるものではない。
恋をしたときの、その胸の高まりと同じである。

確かにバイクは、いつでも思いたったときに、自分を行きたいところへ連れていってくれる便利な乗り物である。
風を切って走れば、時空を移動している実感を全身で浴びられる。
地表を走るにも関わらず、3次元的な運動特性を味わえる面白さもある。
どれもがバイクの魅力として真実ではあるが、しかしそれらは表面的かつ断片にすぎないのではないか。
惚れた彼女の魅力について、鼻の形だとか、スタイル、喋り方などあれやこれやと美点をならべて説明しようとしているの似にている。

要は、惚れたのだ。

ところがその恋は、同じところに留まってはいない。
最初は小さなバイクで十分に高まり満足しているつもりなのだが、ほとんどの場合、もっと大きな排気量のバイクに乗りたいという、新たな恋を芽生えさせてしまう。
迫力ある容姿、官能的な加速Gやエンジンフィール、高度なメカニズム……。
いや、これまた鼻の形を云々するのに近いかもしれない。
ビッグバイクの強烈な魅力は、思い描くだけで胸が高まり、一度でも触れれば完璧に恋の病だ。
百の理屈もブッ飛ばす力を備えている。

人間の本能部分を直撃する魅力であり、恋なのだから、解説や分析など野暮不粋。
単純に面白くて素敵で、快楽的娯楽乗り物で、それでいい。理屈をこねまわしたり、ましてや効率論を振りまわしていくと、楽しむこと自体の否定にもなりかねない。

とは言うものの、恋は盲目でもある。
惚れて惚れて、最高だと思っていると、その対象のうち自分にとって都合がいい面しか見ていない、都合のいいように歪曲して見ている、そいういうことも多いものだ。
現時点での対象の、すぐとなりに存在する素敵を見過ごしていることも、よくある話。
恋は切って捨てられるものではないけれど、ここでちょっと冷静になって、あなたの恋について考えてみませんか。

ビッグバイクの、本当の性能とは何か? 
本当の機能性とは何か?
テイストとは何か?
それらはどこから生まれるのか?
勘違いではなく心底から楽しめるバイクライフとは?
答はひとつではない。
百人いれば百とおりの恋があっていい。
けれども、できることなら一過性の勘違いではなくて、本物の恋を皆さんにしていただきたい。
そういう気持ちを込めて本書を執筆しました。
などと言いながら本書は、僕の恋について、僕があれやこれやと考える自問自答を文字にしたようなものです。
瞬間的に燃え上がった恋も、ジワジワとこみ上げてきた恋もある。
恋多き僕が出逢った多くの愛すべきバイクたちの、鼻の形、身のこなし方、肌の感触、生まれ育ちなど、様々な断片を見てまわりつつ、恋の対象であるビッグバイクの本質的な魅力を探ってみました。
理路整然とではなく、さまよい歩くように。

そんな僕の右往左往を眺めていただき、皆様が素敵な恋をするための参考にしていただければと思っています。

つじ・つかさ
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